福島県水産試験場研究報告 第10号 - 012/073page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

長して、大型卵となり、次々に補給されてゆくものと思われた。胞卵していた大型卵の卵数平均値は、4月13日(熊川前、刺し網)に最大となり、このときの卵数平均値は678粒/尾、卵数の範囲(最大値〜最小値)は583〜819粒/尾であった。なお、測定個体中で、大型卵を最も多く胞卵していた個体は、3月27日(熊川前、刺し網)の932粒/尾であった。

図−7   図−8

図−9

 また一方、大型卵の卵径平均は、1月28日(請戸前、船曳網)が0.36mm、2月10日(浦尻前、船曳網)が0.79mmであったが、2月27目以降の採取したものについては、ほぼ1mm前後の大きさにあり、採集し得た天然の受精卵に、ほぼ等しい大きさとなっていた。

 さて、産卵数であるが、堀4)は、成熟雌魚の卵巣の重量・大きさから、3つのタイプに区分けし、2回産卵の推定を行っている。3タイプとは、右葉の方が大きいが左葉も良く発達し大きいもの、左葉が小さく右葉が大きいもの、両葉ともつねに小さいものであるとし、産卵は、左葉から始まり、次に右葉を放卵するという、2回にわたり産卵するというものである。そして、胞卵数は300〜550粒とし、放出卵数は、その約1.5倍としている。

 この考えは非常に面白いし、卓見であると思う。しかし、私たちの調査では、産卵終期と思われる両葉が小さいものは2〜3尾の雌で見られたが、殆どが、右葉が大きく左葉が小さかった。従って未熟卵が成長して熟卵となり、熟卵の放出は、左葉を経由して行われると思われた。

 産卵数は、大型卵の胞卵数の最大が、930粒を超えたこと(平均でも650粒を超えるものが、多く見られた)、更に、未熟卵から補給される熟卵の個数を、この半数程度と見積もって(半数とみるのは、かなり感覚的ではあるが)、1,000粒から1,500粒程度にあると考えるのが、妥当と思われた。

 産卵期の推定

 産卵場に蝟集してきた親魚の、成熟過程の経日変化から見ると、3月中下旬に、GSIが25〜27%と最大になり、以降は、増減を繰り返したことより、この海域におけるイシカワシラウオの産卵は、この時期から開始されたと見るのが妥当だろう。また、7月6日まで産卵親魚を採捕しており、7月初旬までは産卵が続いていたと考えられる。即ち、3月中下旬から7月上旬までの、実に4ヶ月にわたる長い期間、産卵期にあ


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県水産試験場に帰属します。
福島県水産試験場の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。