福島県水産試験場研究報告 第10号 - 042/073page
を図4に示す。1995年以降、天然魚の大量発生による漁獲加入で漁獲量は大きく増加している。放流魚重量比率は1994年の22.8%から下降し、1997年には5.3%となったが、1999年には13.5%まで上昇している。
1994〜1999年の放流魚、天然魚別漁獲金額および放流魚が金額に占める割合(放流魚金額比率)を図5に示す。漁獲量と同様に、1995年以降、漁獲金額も大きく増加している。放流魚金額比率は1994年の23.1%から低下し、1997年に3.4%となったが、1999年には10.3%まで上昇している。
放流魚重量比率および放流魚金額比率は同様に推移している。それらを6年間で平均すると放流魚重量比率で11.4%、放流魚金額比率で10.0%となり、金額の比率が若干低くなった。
考 察
放流魚の推定漁獲量、推定漁獲金額からみた放流効果
ヒラメの種苗生産および放流は、1996年度から(財)福島県漁業振興基金(放流事業に先行して、1993年1月からヒラメ水揚げ金額の5%を漁業者が負担している。)が委託する事業(ヒラメ栽培事業)となり、放流尾数は100万尾レベルに増加した。その効果は翌年には現れなかったが、1998年には放流魚推定漁獲重量が初めて50t台となり、量的な効果が現れ始めた。1995年以降、卓越年級群の漁獲加入で平均単価は千円台に下落したため、経済的な効果は量的な効果と比較して低いものとなった。
しかし、1999年の放流魚漁獲重量は70tを超え、金額では約1億円と推定された。福島県でヒラメ栽培事業を運営する費用は年間、約1億円であることから、毎年の漁業者負担金が1億円となって事業を運営することが理想である。しかし、仮に水揚げ金額の5%で事業運営するとすれば20億円の漁獲金額が必要となり、これまでで最高の漁獲金額13億円(1997年)でも不足することから、現実的に不可能である。また、放流魚の漁獲金額が事業運営経費と同等になることも1つの目標と考えれば、1999年に放流魚の漁獲金額が約1