福島県水産試験場研究報告 第10号 - 063/073page

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福島水試研報第10号 平成13年3月
Bull.Fukushima Pref.Fish.Exp.Stat.,No10.Mar.2001

福島県沿岸の水温データ解析−V.

吉田哲也

Analysis of Sea Temperature off Fukushima Prefbcture−V.
Tetsuya Yoshida

ま え が き

 当県海域の海洋構造は、親潮系水、黒潮系水及び暖水塊等に支配され、短期・長期的に複雑に変動し、サンマ、イワシ、サバ等浮魚類の漁場形成や沿岸域の生産力に大きな影響を及ぼしている。このため、海洋観測は古くから行われ、そのデータはイワシ、サバ等の各種予報会議や漁海況速報等に活用されている。しかし、海況予測、水温予測手法についての検討は充分とは言えない。近年、東北区水産研究所が中心となり、東北ブロック水産海洋連絡会のテーマとして東北各県の水産研究機関が統一した手法で、地先の水温変動特性の解析に取り組んでいる。その結果については、前報1)、前々報2)において、観測定点間の相関関係、当県沿岸域の地理的区分、平年的な季節変動特性として報告した。今回は、今後の解析の基礎資料とするため当県沿岸域の経年変動特性について検討したので報告する。

材料および方法

1.材料

 データセットを以下の手順で行った。@解析データは実測データではなく100m深水温平年偏差を用いた。A比較的欠測の少ない1973年以降については、欠測期間が2ヶ月以内についてのみ観測点毎に線形内挿を行い補完し、補完できないデータ(欠測間隔が3ヶ月以上)が存在する定点は除いた。B次に、可能な限り長期間の変動を解析するため、1972年以前は欠測期間が比較的長期にわたるものの、Aで抽出された定点を対象に、線形内挿可能な期間のみ補完し、補完できない場合はこの期間の全定点データを削除した。この結果、塩屋埼定線(S3、S4、S5)、富岡定線(T4、T5)、鵜ノ尾埼定線(U5)の計6定点が残り(図1)、データ解析期間は1962〜1997年となった。

図1


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