福島県水産試験場研究報告 第10号 - 064/073page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

2.解析方法

 解析は、共分散行列を用いた主成分分析により以下の手順で行った。まず、共分散行列を計算し、固有値、固有ベクトル(主成分)を求め、固有値の寄与率から第何成分までが必要かを判断した。次に、主成分の振幅を確認し、寄与率から判断した主要成分のスコアから時間変動を求めた。さらに、このスコアの時間変動要因を検討するため、事例解析、コンポジット解析を行った。両解析には、スコアに13ケ月移動平均を施し平滑化したデータのうち、欠測期間が少ない1976年以降を用いた。事例解析では、正負両スコアがピークとなる年の東北海区100m深水温図、当県海域の鉛直断面図を比較検討した。コンポジット解析では、正負両スコアが大きな値をとる期間の東北海区水温偏差合成図を作成し比較検討した。なお、主成分分析には統計解析ソフトsystatver.5を用いた。

結   果

1.主成分分析結果

 各主成分の寄与率は、第1主成分69.34%、第2主成分12.12%、第3主成分6.68%であった。寄与率の落ち方から、第2主成分までが有意と考えられ、第2主成分までの変動要因を検討した。第1主成分は、符号が全て同じ(正)であり、当県沿岸域は一様に水温が上下する全体変動を示し、県南沖合の振幅が大きかった。スコアの変動は、1979年頃に正符号の、1984年頃に負符号のピークが見られ、1988年以降約2〜3年毎に正負の小変動を示した。第2主成分は、符号が県南沖合が正、県中・県北が負であり、これら海域間のシーソー変動を示し、スコアの変動は、第1主成分と比べ短期間かつ小さな変動であった(図2、3、4)。

図2

図3


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は福島県水産試験場に帰属します。
福島県水産試験場の許諾を受けて福島県教育委員会が加工・掲載しています。