平成13年度 事業報告書 - 015/171page

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U 魚類栽培に関する調査

1 ヒラメに関する調査(栽培漁業技術開発事業、漁業資源調査)

冨山毅・安岡真司

目     的

 放流効果モニタリングや漁獲状況を把握することを目的として、県内市場に水揚げされるヒラメに関する調査を行った。減耗要因解明調査として、放流魚の短期追跡調査、餌料環境調査を行った。なお、減耗要因解明調査については平成13年度資源増大技術開発事業報告書に記載したので、ここでは省略する。

方     法

(1) 市場調査

 調査は、北から順に新地、相馬原釜、鹿島、請戸、久之浜、四倉、小名浜および勿来の計8市場で行った。鹿島以北では、ヒラメ天然魚(以下、天然魚)・ヒラメ放流魚(以下、放流魚)を区別した全長を測定した。請戸以南の調査では、競りごとの重量および尾数、その尾数の中で確認された放流魚の尾数などを記録した。

 相馬原釜における天然魚・放流魚別の全長組成を月ごとに整理して年級を分離する全長を設定し、これに基づいて全長を測定したヒラメについて年級を決定した(1)。重量を調査したヒラメについては、全長と重量の関係(2)から全長を推定し、年級を決定した。漁獲尾数は、調査尾数(年級群別、市場別、月別)を重量による調査抽出率で除して推定した。推定漁獲尾数(年級群別、市場別)は月ごとに合計し、調査しなかった市場の漁獲量に相当する尾数を加え、県全体の推定漁獲尾数とした。推定に用いた漁獲量は、平成11年12月までについては福島県海面漁業漁獲高月報および福島県海面漁業漁獲高統計、平成12年1月以降については福島県漁業協同組合連合会の速報値を用いた。

(2) 貧血症調査

 平成13年9月に久之浜、勿来で、10月に四倉でヒラメ40cm未満魚を購入し、精密測定に供した。鰓の色から貧血症の発症状況を調査した(A〜Fの6段階で区分、Fが最も貧血症の進んだ状態)。また、Neoheterobothrium hirame(以下ネオヘテロボツリウム)の寄生状況を調査した。

結     果

(1) 市場調査

 平成13年4月から平成14年3月に相馬原釜で測定されたヒラメの全長データを沖底とさし網で合計して表1に示す。天然魚では平成13年4月から平成14年3月までの期間を通して平成11年級群が中心となっている。平成11年級群は発生量が多く、漁獲尾数も多い。2歳以上での漁獲尾数は平成6年以降では大量発生のあった平成6、7年級群に次いで多かった(表4)。放流魚では平成13年5月までは平成11年級群が多かったが、平成13年6月から平成14年3月までは


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