平成13年度 事業報告書 - 115/171page
4 東京都中央卸売市場における福島県産魚介類の取り扱い状況について
藤田恒雄・下園榮昭
目 的
福島県産魚介類は、「常磐もの」というブランドで首都圏に流通しているものと考えられるが、その実態については明かでない。大消費地である東京市場での取扱状況を整理し、流通戦略について検討する。
方 法
東京都中央卸売市場の市場月報(平成12年)の整理を行った。また、必要に応じ、福島県海面漁業漁獲高統計(平成12年)、漁業・養殖業生産統計年報(平成11年)を参照した。
結 果
(1) カレイ類の特徴(図1,2)
カレイ類の東京卸売市場(以下東京市場)への入荷割合は、アサバガレイ、マガレイ、アカガレイが共に15%と大きな割合を占め、次いでクロガレイ、ナメタガレイ、マコガレイがそれぞれ約11%と多く、ヤナギガレイ、メイタガレイ、イシガレイは、1.6〜0.5%と少ない。入荷量の多いアサバガレイ、マガレイ、アカガレイ、クロガレイ、ナメタガレイは共に北海道からの入荷割合が圧倒的に多い。特に前4種はほとんど北海道から入荷している。福島県内での漁獲割合は、マガレイが30%を占め、次いでナメタガレイが15%、イシガレイ13%、マコガレイ、ヤナギムシガレイ、アカガレイ、ミギガレイがそれぞれ10〜9%となっている。東京市場での活カレイ統計は別統計になっているため、活魚のある魚種では東京市場と福島県内単価の比較は単純にはできない。
ア.マガレイ(図3)
東京市場への年間入荷量は713tと多い(福島漁獲量626t)。産地は圧倒的に北海道が多く89%を占める。次いで福島産だが、5%にすぎない(福島での漁獲量の4.6%しか東京市場に入荷していない)。入荷量の月変動は大きく、4〜6月に多く、8〜10月は非常に少ない。入荷量と単価は逆相関があり、3月と7〜10月に高く、4〜6月、11、12月に安い。福島産単価は、全体と同じ傾向で変動するが、全体単価を若干上回る。東京市場での入荷量月変動と福島での漁獲量月変動は傾向が異なるため、東京市場へ売り込む余地はある(3、9、10月)。
イ.マコガレイ(図4)
東京市場への年間入荷量は487tと多い(福島漁獲量213t)。産地は千葉31%、青森20%、宮城10%、北海道10%、福島は5位で9%(福島での漁獲量の21%が東京市場に入荷)。福島からの入荷は、産卵期に多いが、千葉からの入荷は夏に集中している。入荷量の月変動は少なく、単価の変動も少ないが、12〜2月に安く、11月には入荷量が少なく単価も高くなる。福島県産単価は、全体を若干上回る。12、1月の大量漁獲と産卵後の2月の漁獲がもったいない。その分11月に獲れないのか。
ウ.イシガレイ(図5)
東京市場への年間入荷量は22tとカレイ類では極めて少ない(福島漁獲量474t)。産地は北海道、千葉、山形、青森、福島(7%)の順(福島での漁獲量の0.7%しか東京市場に入荷していない)。入荷量の月変動は大きく、冬に多く夏に少ない。単価は、夏に高く冬に安い。福島産