福島県長期総合教育計画41/4-046/330page
ることにする。
まず、工業化の進行にともなう大量生産、新製品の続出、交通通信の発達による大量消費の浸透
と所得との関係をみることにしたい。
第49図は、本県の所得水準と消費水準の推移を示したものである。全国の平均実質所得と平均消
費額を100とした指数で、本県の水準を示したこの資料によれば、本県の所得水準は、昭和30年の
78.7を最高に、昭和36年まで水準は低下したが、昭和37年には75.6と回復した。しかし、昭和38年
以後は再び水準低下を見せている。
消費水準は、昭和30年
の86.0から昭和37年の
79.1まで低下をつづけた
が、昭和38年から上昇に
転じ、所得水準の低下傾
向に対し、消費水準は上
昇傾向を示している。
所得水準と消費水準と
を比較すると、所得水準
が低いのに対し、消費水準はかはり高い。
本県の産業発展のおくれは、所得水準の低さにあらわれているとみられるが、消費は、所得のわ
りに大量の消費生活をしていると考えられる。関東経済圏に隣接している立地条件と交通通信の急
速な発達、商業主義、マス・コミの普及、売らんかなの販売・宣伝、都市部消費生活の向上など大
衆消費への性向が、県民の生活意識を変ぼうさせ、所得を上まわる消費という現象をみたものと考
えられる。全国的にみれば、消費の大量化は、生産を刺激することになろうが、県段階ではこの消
費の大量化が、生産に直結するとはいいきれない。本県は、消費県になっているともいえる。この
傾向が、果して健全なものであるであろうか。
第49図 所得水準と消費水準の推移
(注) 全国平均実質所得額・消費額を100とした指数
5 消費生活の格差
第19表は、農家と非農家の消費構造の比較を示したものである。食料費の構成比は、農家、非農
家とは、接近した数値であるが、農家の被服費、光熱費の比率は、非農家より低い。住居費は農家
が圧倒的に多く、耐久消費財の購入が、非農家より活発におこなわれている。耐久消費財は所得の
もっとも高い方から、新中間層、低所得層にと時期的にずれて浸透するといわれている。
そのため、農家が、非農家におくれて耐久消費財が、零細農家にまで浸透したためではないかと考
えられる。雑費は、非農家の34.6%に対し31.4%で、文化的生活への支出がおくれていると見られ
る。