福島県長期総合教育計画41/4-063/330page
都市周辺部や農村では、一世帯構成人員が多く、65才以上の高齢者のいる世帯も多い。大家族で
あること、高齢者のいる世帯が多い農村部、都市周辺部は伝統的社会に包含されている事情もあ
り、家族生活の混乱は比較的多くなるものと考えられよう。
4 家族生活と社会の変ぼう
民法の改正など制度の改革、産業構造、就業構造の近代化、大量消費と所得の上昇、マス.コミ
の急激な普及、都市化の進行、大衆社会の拡大など産業や社会の発展が、家族生活の近代化を必然
のものとしているが、この過程における家族生活の問題点を項目的にひろってみることにしたい。
(1) 制度の改正と家族の意識
制度の改正によって、子女の結婚に対する意識と世代の異なる両親の意識のズレ、結婚による
新戸籍の編制、別居して新しく世帯を持ちたいという若い世代と両親との意識のズレ、両親の扶
養に対する親と子の考え方の相異、遺産相続についての家族の考え方と子女の考え方のちがいな
どが、家族の問題となっている。基本的には家族生活そのもの一戸長の権限下に隷属していた家
族制度ではない一に対して共通の理解をもつに至らないことが、大きな原因であろう。若い世代
は、マス・コミを通して結婚生活へのイメージを一方的な受け手としてえがいているであろう
し、古い世代は、伝統的な考え方を脱し得ないことからくるズレが見られる。
第31表 住宅不足の状況
昭30 昭35 昭39 住宅不足戸数 不足戸数 構成比 住宅戸数 343,000 370,000 396,000 同居世帯によるもの 9,014 24.8% 非住宅に居住しているもの 2,438 6.7 100 108 115 老朽家屋で建替を要するもの 12,093 33.2 狭小過密居住によるもの 12,855 35.3 計 36,400 100
結婚を例にとれば、子女は結婚と同時に新しい世帯を持つことを求めるが、所得や住宅事情は
きびしいので、結婚後も両親と同居せざるを得ない。同居はしていても、別居生活をイメージと
して持っており、家族との間にトラブルをおこしやすいこととなろう。
住宅事情は、第31表のとおりなお不足するものと見られるので、こうした混乱はつづくものと
考えられる。
農家は、農業後継者と二、三男とでは趣きをことにしようが、意識のズレからの混乱は、さけ
られないであろう。