福島県長期総合教育計画41/4-067/330page
にある。家族構成員は、楽しい、心暖まる、心の通う、やすらぎの場を失っている。
5 家族生活の変ぼうと教育
家族生活はすでにみたように、産業の発展、社会的分業とそれに応じた組織の発達につれて家族
の機能は、ひとつひとつ他の専門的機関にはぎとられてきている。家族構成員は、産業生活の質的
変化、マス・コミのはん濫、大量消費への傾斜、大衆社会の拡大、都市の生活など、その生活は巨
大な時流の中に流され、家族構成員相互間の意識や行動のズレ、家族生活へのイメージと現実の家
族生活のズレなど家族生活を不安定なものやしている。
このような家族生活の変ぼうが教育に要請する問題のうち二、三項目について例示的にとりあげ
るにとどめたい。
(1) 家族生活が、構成員すべてのやすらぎの場となるよう、家族構成員相互が、共通の目標実現に
協力し、民主的な人間関係づくりにつとめることが必要になろう。これの実現を阻害する要因は
家族内外に数多くあろうが、愛情を基盤として、相互の理解と協力によってやすらぎの場となる
家族生活の実現を期することが課題となろう。
(2) 家族生活は人間形成の母胎とならねばならない。人間のパースナリティー形成における家族生
活の位置は、年輪における髄とも見られ、深層心理学の指摘にもあるとおり、全生涯をつらぬい
て、その意識や行動の根幹となるものである。
家族生活の保護、教育機能にかわる外部の補償施設がいかに拡充されようとも、人間形成にお
ける家族の保護、教育機能の維持向上は放棄さるべきではない。
この機能を発揮するための家族構成員の人間的成長と知識、技術をたかめることが課題となろ
う。社会の変ぼうに比例して家族の保護教育の比重はたかめる必要があろう。
(3) 家族生活は社会集団の構成単位である。工業化の進行にともなって社会は近代化されていく。
農村社会、都市社会によってそのプロセスは相を異にしようが、社会の近代化は、家庭の近代化
によって大きく支えられることになると考える。社会の近代化は、民主化と合理化を大きな要因
としてすすめられるが、家族の近代化もその民主化と合理化が柱となろう。ひずみや矛盾が伏在
しているが、これを克服し、民主化と合理化を実現することに家族構成員相互がつとめる必要が
あろう。