福島県長期総合教育計画41/4-071/330page
に支えられるとすれば、人間を尊重する民主化の徹底と創造的な合理的態度を身についたものとす
ることが重要な教育の課題となろう。
大量生産、大量消費やマス・コミの普及などによって、一方的な受け手としての立場にならさ
れ、創造的な生産から消費に価値志向をかえる傾向がつよくなり、内面化の機会は極度に乏しくな
り、他人志向型の意識や行動様式が多くなる傾向はますますつよまってくることは、さきにみたと
ころである。自分自身をみつめ、自分自身の価値にてらし、自分自身の判断にもとづいて行動する
主体的態度がつよく要求され乱非行問題など社会道徳の欠陥は、この主体的な態度の弱さが、そ
の根本的原因であろう。人間らしい人間への志向の原動力となるのはにの主体的態度であると考
えられる。
人間が人間の座を回復するためには、家庭の幼児保護、教育、幼稚園、保育所、学校教育、社会
教育のすべての教育の機会が、人間の発達に焦点づけた質の高い教育を実現する必要があろう。
4 産業の発展と科学技術教育
生活水準の引上げの前提となるのは、経済の発展であることはいうまでもない。また、産業生活
をぬきにした人間の生活は考えられない。社会の発展のために貢献するといっても、もっとも大き
な比重のかかるのは産業生活であろう。転職や職場の配置転換、能力給制度への傾斜なども予想さ
れるが、産業生活を充実し、新しい職業への知識技能を身につけるかいなかによって、その経済に
も生活水準にも大きな影響がでてきよう。
また、産業発展の後進性を克服し、本県産業の発展を実現することなしに、県民生活の水準向上
は期待できない。とくにわが国の工業化は、めざましい進行をつづけている。この動向は世界的な
動向でもある。本県は現在全国水準に比してすでにみたようにかなりの格差が見られる。国の産業
発展のはやさに劣らないはやさで産業の発展を推進しなければ、経済の格差はさらに拡大し、県民
生活水準は相対的に低下することになろう。県民ひとりひとりの産業発展への意欲的なとりくみ方
がつよく要請される。
しかも、産業の発展は、たえざる科学技術の発達によって支えられ、生産技術も経営方式も日に
日に機械化されていくことになるが、このことについてはすでにみたところである。
消費生活においても耐久消費財の大量購入がみられ、日常生活そのものにおいても科学的知識技
能が必要になろう。さらに、環境の近代化は合理的、創造的な態度をつよく求められよう。科学技
術の発展の中で生活するにしても、今後の科学の発展を推進するにしても、科学教育の振興が、さ
らにつよい要請となろう。
以上にみたように科学教育の振興、産業教育の拡充は、今後の大きな課題となるであろう。科学
技術教育は、科学技術的風土の中でのぞましい発展を期待できよう。家庭での幼児教育から学校教
育さらに社会人となったあとも継続的自己教育で―社会教育まで―一貫してすすめられねばなら
ない。