福島県長期総合教育計画41/4-077/330page
現代の教育は、自分で活動し、自分で思考し、自分で創造する主体的な自己活動を形成するこ
とを目ざしているが、変化した社会では、他人志向型に傾斜し、外部の刺激を一方的に受ける受
動的傾向がつよく、己れ自身との出合いや内面化の機会はきわめて乏しい。マス・コミによって
一方的に観念と断片を与えられ、諸関係の理解や本質の理解はえがたくなっている。価値志向も
生産から消費にうつり、創造的な態度から消費をたのしむ賃金を得るのが職業といった傾向もつ
よくなり、社会のためにというよりは自己の生活をたのしむといった傾向もつよく、共同社会を
形成する人間同志の義務といった社会道徳も低下している。このような社会に生れ、このような
環境で生活する幼児や青少年の人間形成にどのような影響を与えることになるか。きわめて重要
な問題である。
2 また、人間疎外が機械文明の発達とともに多くなってきている。さらに、都市化は、交通事故
の増加、非行青少年の増加、伝染病、犯罪の増加、公害なども問題として指摘されている。
このような社会の変化による教育上の課題に対し、人間性が尊重され、かかる混乱を克服し、
現代生活の課題を主体的に解決していくに必要な人格の内面化と洞察とを身につける教育の重視
が課題となろう、
3 社会の近代化は、うごかしがたい時代的要請にこたえる合理化、民主化が、さらに徹底される
必要がある。自主性、協調性、創造性、合理性、道義的態度が身につかなければならないであろ
う。
4 社会の進歩は、別項の科学技術教育、文化的教養の向上、体位健康をも含め高い資質が要請さ
れる。教育内容、方法の高度化も必要になろう。とくに、ひとりひとりの能力、特性を最大限に
伸長することが、人的能力開発の上からもつよく要請される。
これらの要請に応える教育活動の質的向上に必要な教育諸条件の充足度は、全国水準に比べ低
位にある。また、新しい要請に即した教育諸条件の近代化も必要になるので、総合的な教育諸条
件の整備拡充が課題となろう。
第4 科学技術の進歩に応ずる科学技術教育振興の必要
1 合理的精神を基礎とする科学技術の進歩はめざましい。この技術革新を軸とする工業化の進行
は、大量の科学者、技術者、技能者を求めることになるが、国は、この社会的要請に応え、国立
大学理工学部の拡充、工業専門学校、高等学校職業科の拡充、中学校技術家庭科の新設などの施
策を推進し、産業教育振興法、理科教育振興法を制定し、科学技術教育の振興をつよくすすめて
いる。
2 工業化の新製品は、消費の増大と相まって、日常生活とくに家庭生活、産業生活、社会生活の
全領域にわたってはん濫し、科学技術知識技能の必要が増大している。科学技術的知識技能の不
足から発生する事故も増加している。科学技術の時代にいき、科学技術の発展を支えるために
は、科学技術教育の振興が大きな課題となろう。合理的、創造的態度が生活のあらゆる分野で必