第2次福島県長期総合教育計画(昭和53年度〜昭和60年度)-247/285page
わせているものである。対象物件は,国,あるいは県の指定にかかわる建造物及び史跡・名勝・
天然記念物など391件である。
巡視の結果,緊急を要する事項については臨機に対処し,それ以外については各教育事務所
長を通じ定期的に所有者,または管理者に対し指導を行っている。
文化財の保護の充実を期するに当たって,文化財パトロールの果たす役割には極めて重要な
ものがあるので,パトロール計画の充実強化を図る必要があろう。
(2) 市町村の文化財保護体制
市司村における文化財保護行政は,当該各教育委員会が担当しているが,文化行政専管係を設
置している6市1町のほかは,社会教育担当職員が事務の一部として処理している。
また,文化財の保存及び活用に関する基本
的事項を定める「文化財保護条例」の制定状況
をみると,昭和51年度現在において,86市町
村において制定し,全体の95%に達している
(表5−3−3)。しかし昭和50年7月の文化
財保護法の一部改正に伴う所要の改正をして
いない市町村あるいは,その運用が不十分
な面も見受けられる。
更に,文化財保存に関する専門的調査を
行うための「文化財保護審議会委員等」の設置状況は,昭和51年度現在において85市町村が設置
し,文化財保護審議会委員等の数は,566人となっており,昭和41年度207人に比較すると約2.7
倍となっている(表5−3−4)。
文化財保護行政は,文化庁,県教育委員会及び市町村教育委員会が一体となって推進すべきも
のではあるが,その第一線は,市町村教育委員会であるので,今後これら市町村教育委員会の体
制の一層の充実が必要であろう。
表5−3−3 文化財保護条例制定状況(単位:市町村)
年 度 41 43 45 48 49 50 51 条例制定市町村数 27 44 57 75 82 86 86 注:「文化課調査」(昭51)による。
表5−3−4 文化財像護審議会委員等の推移(単位:人)
年 度 41 43 46 48 50 51 委 員 数 207 241 350 483 519 566 注:「文化課調査」(昭51)による。
2.施策の基本方向
(1) 県の文化財保護体制
文化財の保護に関する行政需要が年々増加しており,これに対応するためには,総合的な文化
財保護に係る行政執行体制の確立が望まれる。そのため先ず,文化財保護担当職員の増員による
文化財保護行政組織の充実に努める。
また,文化財保護の万全を期するため,文化財パトロール事業のなお一層の充実強化を図り常時
広域にわたる県下の文化財の保存,管理の実態をは握し,適切な指導助言を行う。
(2) 市町村の文化財保護体制
地域開発,生活の近代化に対応して,市町村における文化財保護体制の確立がますます要請さ
れるので,文化財保護条例の制定及び文化財調査委員等の設置を昭和60年度100%を目標に促進
するとともに,その適切な運用の推進に努める。また,市町村における文化行政専管係の設置を
を指導する。