ふくしま文学のふる里100選-025/30page

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田宮虎彦 田宮虎彦(たみや・とらひこ)
明治四四・八・五〜昭和六三・四・九、東京生。小説家。戦後すぐに会津藩からみた戊辰戦争を描き出す。出世作は、会津藩に関わる旧幕臣の遺児の生涯を描いた小説『霧の中』(昭22)で、他に鶴ヶ城の落城を描いた小説『悲運の城』(昭26)がある。

早乙女貢(さおとめ・みつぐ)
大正一五・一・一〜中国ハルピン生。本名鐘ヶ江秀吉。戦後山本周五郎に師事、『僑人の檻』で直木賞。曽祖父が会津藩士で、戊辰の役で戦ったことから、歴史への思いがこもっている。

飯盛山の白虎隊の墓飯盛山の白虎隊の墓
御薬園御薬園
夕暮れの鶴ヶ城夕暮れの鶴ヶ城

59 落城
田宮虎彦
小説  昭和二四年(一九四九)

 明治維新に際して、徳川譜代の小藩の黒菅藩(会津藩がモデル)が、家老以下女や子供に至るまで幕藩体制の犠牲となって全滅をしていくまでを描く悲壮な小説である。この作品の背景には、太平洋戦争に翻弄された人々の無念の思いも込められている。


61 おけい・会津士魂
早乙女 貢
小説  昭和四九年(一九七四)・昭和六〇年(一九八五)
おけい会津士魂
 『おけい』は明治二年に初の女性移民として一七歳でアメリカに渡った少女・おけいの薄幸な一生を描いたもの。

 『会津士魂』は戊辰戦争を、会津藩側から描いた長編小説。藩主容保(かたもり)が京都守護職を拝命することから、鶴ヶ城開城まで、会津武士が忠誠を尽し、最後まで忠孝に生きた姿を描いた。


62 流星雨
津村節子
小説  平成元年(一九八九)
流星雨
 会津武士・上田多聞の長女・あきは、戊辰の役の際一五歳、父と兄は戦場へ出て、一家は流浪の旅へ出るが、父と兄の遺骸・遺骨をさがしあてるところは、戦争の悲惨さをよく表現している。青森県斗南(となみ)での窮乏の暮しを経て、あきは北海道へ渡る。敗戦の苦痛に耐え得たのは武士道の志があったからであろうか。昭和六三年から平成元年まで『世界』に連載。

 維新前後の会津を描いた作品には、岡本綺堂の戯曲『維新前後』(明41)、佐藤民宝の小説『白虎隊』(昭19)、永岡慶之助『斗南藩子弟記』(昭35)綱淵謙錠の力作長編小説『戊辰落日』(昭53)などがある。

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