サクシード中学校国語から高等学校国語へ-015/43page
【対比的な思考方法と段落相互の関係についての参考事項】
対比的な思考方法については、前のページのように図示の形で示すなどの工夫が考えられる。この他にも生徒の創造力が発揮できるような理解の方法を工夫することにより、学習意欲を喚起することができる。
■論理的文章に多用される対比の例
(高等学校「国語1」の教科書教材分析による)
1)時間と空間
2)自然と人間
3)内と外
4)夢と現実
5)理論と実践
6)個人と社会
7)ものと言葉
8)水平と垂直
9)昔話と神話
10)アナログとデジタル
11)表と裏
12)言葉と記号
13)からだとことば
14)子供の世界と大人の世界
15)生と死
16)橋と塔
17)部分と全体
18)畳と床
19)沈黙と饒舌
20)自己と他者
■段落相互の関係に関する設問には、次のような形式もある。
第六段落は、第五段落に対してどのような関係にあるか。最も適当なものを、次のア〜オの中から一つ選びなさい。
ア 第五段落の内容に対して、対比して説明している。
イ 第五段落の内容を受けて、条件を示している。
ウ 第五段落の内容を離れて、話題を転換している。
エ 第五段落の内容を受けて、理由を説明している。
オ 第五段落の内容に対して、反論を提示している。
(平成九年度福島県公立高等学校人学者選抜学力検査問題一の5
木原武一「天才の勉強術」より)
○表現の読みとりから主題把握へ
第六段落には予想される主題(文化論)に近づいていく表現がでてくる。「外面的な事情」との対比で「内面的な事情」とは何かを確認させていく。また、それが第七段落における「独特の好み」「感性」という関連した言葉をもとに、「積極的に、形なきものを恐れない心のあらわれ」とまとめられていくことを理解させる。
さらに、筆者によるまとめの部分(A・B・C)も含め、キーワードを手がかりにして要旨をまとめさせていく。
○要旨把握から自論の展開へ
筆者のものの見方・考え方を他の分野にまで応用して考えてみることにより深い思考力がつく。「人工と自然」「文化と野生」「過去と未来」「科学と人間」という内容について、自分なりの考えを自由に書かせることも、発展的な学習の一つである。
【論理的文章の理解に関わる言語事項】
◆四字熟語や故事成語などに注目して内容を深めることが大切である。
○行雲流水 諸行無常 会者定離 安心立命 呉越同舟 不易流行 深謀遠慮 明鏡止水
○推敲 矛盾 五十歩百歩 蛇足(中学校で既習) 鼎の軽重を問う 株を守る 杞憂 舟に刻して剣を求む 漁夫の利
◆文章構成の基本について確認する。
○序論・本論・結論
○起承転結
○頭括法……初めに要点をまとめる方法。
○尾括法……最後に要点をまとめる方法。
○双括法……初めと終わりで要点をまとめる方法。