サクシード中学校国語から高等学校国語へ-019/43page

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◆ルントウの描写を通して二人の心情を考えさせる授業展開の例 高等学校

(同じ教材を高等学校の立場から扱った場合の例)

 「故郷」の再会場面における、ルントウの描写を通して二人の心情を考えさせる授業展開の例である。

 ルントウの外見上の変化を描写や表現をもとに確認させ、社会状況の変化や過酷な変化をとらえさせる。また、「厚い壁」という言葉のもつ意味を考えさせることにより、作品の中心に迫るとともに、作品を通して生徒一人一人の生き方を考えさせる授業展開を目指している。

本時の目標 ○再会した二人の外面的・内面的変化と心情について読みとる。
○二人の間を隔ててしまった「厚い壁」の意味を探り、状況の中で生きる自分の存左について考える。
過程 学翌活動・内容 時間 指導上の留意点
導入 1 本時の学習課題を確認する。 5(分) ○前時の内容の確認をするとともに、登場人物の描写の特徴にも触れる。
二人の変化をとらえ、二人を隔ててしまった「悲しむべき厚い壁」とは何かを考える。  
展開 2 再会の場面を音読し、ルントウの変化について表にしてまとめる。 10(分) ○登場人物の心情に迫る音読の方法を工夫させる。
(1)わたしとの再会場面における描写。 ○板書に際しては、少年時代のルントウと比較できるように工夫してまとめさせる。
(2)二十年前のルントウと現在のルントウとの比較。 ○形容詞の多用や比喩表現の意味するものに注意させる。
・服装や顔つき、体つき。  
・言葉遣い。  
(3)変貌の原因について考える。  
3 再会場面における二人の心情の変化について表にまとめる。 15(分) ○心情の起伏が明確に表現されている部分はどこかを考えさせ、恐意的な読みを排し、表現に沿った正確な読みを心がける。
・感激で胸がいっぱいになり ○多用されている「……」に込められた心情に着口させる。
・とう口をきいたものやら思案がつかぬままに〜  
・「ああ、ルンちゃん……」  
・身震いしたらしかった。  
4 「悲しむべき厚い壁」に着目してわたしの心情を考える。 10(分) ○年月の経過がもたらしたものについて考えさせるとともに、「壁」をつくったものは何かを隣り同士で話し合わせることにより、考えを深めさせる。
(1)比喩の意味を確認させる。 ○何人かの生徒に発表させることにより、「壁」の持つ意味について考えさせる。
(2)「厚い壁」という表現に込められたわたしの心情について考える。  
(3)何がルントウを変えてしまったのかを考える。  
・時の経過の持つ意味。  
・社会の変化と個人の生き方について。  
・それに対する自分の考え。  
終結 5 本時のまとめをする。 10(分) ○印象に残った描写について確認させる。
6 次時の学習課題を確認する。 ○「故郷」という題名の意味するものは何かについて、各自考えておくように指示する。
離郷の際のわたしの心情と、作品全体の主題について考える。  


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