サクシード中学校国語から高等学校国語へ-022/43page
文学的文章の理解(3) 短歌・俳句 感動の中心をとらえる
◇中・高における指導上の課題と課題解決のための指導のポイント◇
短い言葉で表現された作品を読んで作者の感動の中心をとらえるためには、作者の体験を共有できる言葉への理解が求められる。また、そのためには、一定の数の作品に親しまなければならない。これらの課題解決のために次の点に留意して指導を進めたい。
中学校・高等学校共通
☆短歌・俳句の基本的な知識を得させ、作品のよさを自分自身で発見させること。
☆音読、朗読、暗唱等を通してリズムと表現の豊かさを味わわせ、感動の中心をとらえさせること。
☆生徒の自由な感じ方を評価し、自己の体験をもとに創作する喜びを授業の中で感じさせること。
小学校で学ぶ主な短歌と俳句 (光村図書六年上 創造より)
金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日のをかに 与謝野晶子 みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる 斎藤茂吉 石がけに子ども七人こしかけてふぐをつりをり夕焼け小焼け 北原白秋 校塔にはと多き日や卒業す 中村草田男 日焼け顔見合ひてうまし氷水 水原秋桜子 赤とんぼ筑波に雲もなかりけり 正岡子規 スケートのひもむすぶ間もはやりつつ 山口誓子 中学校で学ぶ主な短歌と俳句 (光村図書二年・三年より)
白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ 若山牧水 街をゆき子供の傍を通る時蜜柑の香せり冬がまた来る 木下利玄 みづからの光のことき明るさをささげて咲けりくれなゐの薔薇 佐藤佐太郎
〔中・高共通のポイント〕
生徒は小学校六年の段階で短歌・俳句を学んでいるが、授業では限られた作品にしか触れることはできないので、まず生徒が短歌や俳句に興味をもつことができるように配慮する必要がある。
たとえば、正岡子規という名前は知らなくても、
「怖くへば鐘が鳴るなり法隆寺」
という俳句は一度は聞いたことがあるだろうし、芭蕉の作品の中からいくつかの有名な句を朗読することにより、興味・関心を喚起することもできる。
また、短歌に関しては、俵万智などの作品が中学校だけでなく、高校「国語1」の教科書にも採録されている。身近な題材をもとに自分自身で創作しようという意欲を高めることも可能である。
大切なことは、短歌・俳句の基本知識(句切れ、修辞技法、季語、切れ字等)を確かなものにするとともに、何回も繰り返し味わうことにより、作者の感動を共感的にとらえることができるよう支援することである。
◆短歌について◆
○問いかけによる理解
たとえば若山牧水の作品に関しては、白と青の清爽な対照に、周りの色に染まらない純粋な孤高のイメージをとらえさ