サクシード中学校国語から高等学校国語へ-023/43page

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囀をこぼさじと抱く大樹かな 星野立子
雀らも海かけて飛べ吹流し 石田波郷
をりとりてはらりとおもきすすきかな 飯田蛇笏

高等学校で学ぶ主な短歌と俳句(「国語1」採録の主な作品より)

死に迎き母に添寝のしんしんと遠田のかはず天に聞ゆる 斎藤茂吉
隣室に書よむ子らの声きけば心に沁みて生きたかりけり 島木赤彦
友がみなわれよりえらく見ゆる日よ  
花を買ひ来て  
妻としたしむ 石川啄木
葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり 釈迢空
マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや 寺山修司
咳の子のなぞなぞあそびきりもなや 中村汀女
遠山に日の当りたる枯野かな 高浜虚子
万緑の中や吾子の歯生え初むる 中村草田男
ピストルがプールの硬き面にひびき 山口誓子
木の葉ふりやまずいそぐないそぐなよ 加藤楸邨

〔確認問題〕

一 作者の感動の中心をとらえ、表現の特徴に注意しながらそれぞれの作品を朗読してみよう。

二 それぞれの短歌・俳句の場面を踏まえて鑑賞文を書き、互いに批評し合ってみよう。


せたり、「や」と「か」との比較を通して「白鳥」に共感を寄せていることを感じとらせることも可能である。その際、生徒自身の疑問をもとに授業を組み立てることも効果的である。

 佐藤佐太郎の短歌に関しては、「みづからの光のごとき明るさ」の意味するものを考えさせるとともに、「ささげて」の表現が何を表しているかをグループで考えさせる。

 また、倒置法や擬人法などの修辞技法に着目させるとともに、音読により読みを深めることが大切である。

◆俳句について◆

○季節感、時間感覚、生命感

 星野立子の句では、切れ字「かな」に着目させるとともに、修辞技法の説明を通して擬人法を用いた作者の意図を読み取らせる。

 また、「こぼす」という日常的で平易な語に着目して、作品の鑑賞を深めることもできる。「こぼさじ」にあるのはついつい思わずももらすまいとする細心の配慮であろう。

○助詞及び表記の工夫

 助詞「も」の役割は俳句において重要な意味を持つ。石田波郷の句では、「雀らも」「吹流しも」そして「子供らも」と考えられる。また、「飛べ」という表現に込められた願いの気持ちを感じ取らせたい。

 飯田蛇笏の句では、ひらがなのやさしく軽やかな感じで「おもき」と表現しているところに、意外な重さ(実りの秋の豊かさ)に対する驚きが込められていることを感じ取らせる。また、「はらり」の部分に、他の様々な語をあてはめてみることにより、語感を確認する工夫も試みたい。

 

【短歌・俳句に関わる参考事項】

◆感動を共有することと創作の喜びを味わわせる。

 普段はなにげなく見過ごしがちなものにも、新鮮な驚きや感動を覚える作者の確かな目を通して、作品を鑑賞するとともに、自分自身で作品を創り出す喜びを一人一人に味わわせていきたい。


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