サクシード中学校国語から高等学校国語へ-026/43page

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古典の理解(2) 物語「伊勢物語」 「歌」に込められた思いを読みとる

 

◇中・高のつながりを考えたときの指導上の課題と課題解決のための指導のポイント◇

 物語作品については、文法への苦手意識から基礎的な言葉のきまりが理解できず、内容の深い理解に至らない場合が多い。また、和歌の読みとりが表面的な理解にとどまって和歌に込められた心情理解にまで至らないことが課題としてあげられる。この課題解決のために、次の点に留意したい。

中学校  ■現代の言葉との比較を通して文法に興味をもたせ、和歌に込められた心情を理解させること。

高等学校□内容の読解に必要な文法事項を精選し、系統的に学習できるように年間指導の計画に工夫をこらすこと。

      □物語作品の読み方の基本を押さえ、和歌を通して人物の心情を把握させること。

 昔、男ありけり。その男、身を要なきものに思ひなして、京にはあらじ、東のかたに住むべき国求めに、とて行きけり。もとより友とする人、一人、二人して行きけり。道知れる人もなくてまどひ行きけり。三河の国、八橋といふ所にいたりぬ。そこを八橋といひけるは、水行く河の蜘蛛手なれば、橋を八つ渡せるによりてなむ、八橋といひける。その沢のほとりの木の陰に下り居て、乾飯食ひけり。その沢にかきつばたいとおもしろく咲き


〔中学校における指導のポイント〕

 人間の感情や思いは、時代が隔たっても変わらないことを実感させる。なお、「伊勢物語」の文学史に触れる際に、高等学校で学習する「源氏物語」など生徒の知っている有名な作品を簡単に紹介することにより、日本の古典に対する興味・関心を喚起することも大切である。

 また、「おもしろし」などの古今異義語を中心にして、現代の言葉と昔の言葉とのつながりについて考えさせる。

○音読、朗読、暗唱の重視音読指導を重視するとともに、朗読を通して人物の心情の理解を深める。

○行動と心情との関連随筆においては、筆者の考えを読み味わうことが中心であり、物語においては、人物の心情把握が中心となる。

 本文では、「身を要なきものに思ひなして」という表現から「男」の旅立ちの理由を考えさせることや、「男」の歌により泣き出さず


〔高等学校における指導のポイント〕

 中学校では古典に親しませることに右眼をおき、脚注を参考にしながら学習している。また、文法的知識については、口語文法を学習しているが、文語文法については「係り結び」の指摘にとどまっている。したがって、入門期においては、特に文法用語についてのギャップを感じさせない工夫が「古典嫌い」を作らないという観点からも大切になる。

○動詞による作品の大きな流れの把握

 本文の内容を考えながら情感を込めて朗読できるよう指導する。また、動詞に注目することにより、「だれが」「どうした」のかをとらえさせ、「男」が旅に出た理由や、まわりの人たちの心情について考えさせる。その際、必要に応じて細部の読みを確認するとともに、物語全体の骨子の把握につとめる。

○辞書の積極的な活用

 基本的語句を辞書で確認するとともに、用例をもとに辞書を「読む」習慣をつけさせることにより、語彙力を身に付けさせる。毎時


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