サクシード中学校国語から高等学校国語へ-028/43page
◆音読を重視し、古典に親しむことを目指した授業展開の例 中学校
音読、朗読を重視し、繰り返し読むことにより内容を理解し、古典に親しむことに主眼を置いた授業展開の例である。
文法事項に関しては、内容理解の上で必要最小限の事項に触れるとともに、修辞技法に着目して心情や情景の理解を図るよう努める。
本時の目標 ○歴史的仮名遣いに慣れ、占文をリズミカルに読むことができる。 ○助詞の省略されている部分を補い、文の組み立てを正確に理解することができる。 ○和歌を手がかりにして、男たちの望郷の思いを読みとることができる。 過程 学習活動・内容 時間 指導上の留意点 課題把握 1 本時の学習課題を確認する。 5(分) ○題名の「東下り」の意味について考えさせ、東国への旅であることをとらえさせる。 音読に慣れるとともに、和歌の果たす役割に着眼して、男たちの望郷の思いを読みとる。 課題追求 2 全体の流れを考えながら全文を音読する。 10(分) ○あらかじめノートに本文を視写させておき、本文のとなりに現代仮名遣いを書かせておく。 (1)歴史的仮名遣いに注意する。 ○音読に際しては、いろいろな形で読ませることにより、古文特有のリズムを体得させる。 (2)一斉音読。 ○各自の練習の時間をとったあと、つまづきの生じやすい部分を把握し、確実に読むことができるように全員で繰り返す。 (3)小集団による音読。 (4)指名読み。 3 本文の内容を理解する。 25(分) ○脚注を参考にさせながら、適宜口語訳をし、内容をつかませる。その際、助詞を補うことにより、動作の主体を確認させる。また、必要に応じて、小集団の話し合いのなかで口語訳を確認させるとともに、係り結びの部分を指摘させる。 (1)男が都を離れた理由と、東国ヘ下る目的。 ○折り句であることがわかりやすいように、句ごとに改行して書き直させる。多彩な技巧を駆使したおもしろさを理解させ、物語が和歌に焦点を合わせていることに気づかせたい。 ・都がなんの希望もない場所となったことを理解する。 ○和歌を詠むに至った経緯(出来事)と関係づけるとともに、,言語遊戯的な面があることにも触れる。 ・未知の世界である東国への期待をかきたてられていることを理解する。 ○別れの悲しみや旅情についても考えさせる。 (2)和歌の修辞技法の一つ「折り句」についての理解。 ・「かきつばた」という語を句の上にすえる。 ・技巧的に優れたものになっていること。 (3)和歌の内容をもとに、人々が涙を流した理由について考える。 ・いとしい妻を都に置いてきたので妻を恋うという気持ちと都から遠く離れた寂しさという心情が込められている。 まとめ 4 本時の学習内容の確認をする。 10(分) ○和歌を繰り返し音読し、内容の理解を図る。 5 次時の学習内容の予定を知る。 ○次回は、第2段落以降の内容を学ぶことを知らせ、音読練習を促す。 隅田川の部分の読解を通して、男たちの心情を理解する。