サクシード中学校国語から高等学校国語へ-030/43page
言語事項 口語文法から文語文法へ
◇中・高のつながりを考えたときの指導上の課題と課題解決のための指導のポイント◇
中学校においては、口語文法に関する基礎的・基本的事項について学習する。口語文法の学習は日常の言語生活の基本ともいうべき事柄の学習であるため、「生きた知識」となるよう配慮することが必要である。
高校入学後、生徒は本格的に古典を学習することになるが、古典読解の手段として文語文法を学習する必要が出てくる。高校での文語文法指導は、中学校での口語文法の学習に負うところが多く、中学校時代に系統的に文法を学習しているということは、文語文法を理解する上でも有益である。
学習にあたっては、まず中学校の復習として、品詞の種類、用言および助動詞の活用形と活用の仕方等の特に文語文法で必要とされる知識について確認することが必要である。
また、中学校での学習を生かしながら、スムーズに文語文法の学習に入れるような配慮が必要となる。
〔中学校における指導のポイント〕
■口語文法について、品詞の分類と各品詞の具体例、活用形の意味等の基本的事項を習得させること。
■日常的な言語活動の中で用いられる用例をもとに、言葉のきまりについて意識させること。
■文語文法については、その存在を知らせる程度でおさえておき、高等学校での学習に意欲的に取り組むことができるよう配慮する。
〔高等学校における指導のポイント〕
□口語文法で学習した文法用語について、どのような意味をもつのかを確認すること。(たとえば、「用言とはなにか。」など)
□文語文法の学習が古典を正確に解釈する上で必要であることを用例をもとに気づかせること。
□基礎的な文法事項を身につけさせ、自分の力で古典の読解・鑑賞ができるようにすること。
品詞の理解を促す
【例(1)】
何枚かの写真や絵を提示し、指定された品詞を用いて説明の文を作る。
◆どきどきするあそぶ (動詞)
すぐに きわめて (副詞)
めずらしい やさしい (形容詞)
【例(2)】
指定された品詞及び技法を用いて俳句を作る。
◆体言止め (名詞、代名詞)
連用中止法 (動詞、形容詞など)
副助詞を用いる (副助詞の「だけ」など)
〔中学校・口語文法指導のポイント〕
品詞に関する基本的な事項の定着を図るために、具体的な語をあげて説明を加える。(名詞についても、普通名詞、固有名詞、数詞、代名詞などの違いについて例をあげて確認する。)
また、文法用語を自分で説明できるようにすることにより、確かな理解力をつけさせる。
○体言と用言の区別
体言の概念は、後に活用語の接続を考える上で必要となるので、分かりや
〔高等学校・文語文法指導のポイント〕
中学校における既習事項を確認するとともに、文語文法と口語文法における相違点について触れる。
○口語文法との違い
形容詞や形容動詞の終止形の違いなど分かりやすい例をもとに指導する。
高い (口語)…高し (文語)
静かだ(口語)…静かなり(文話)
また、助動詞の数が増えるので、有名な作品の一節や文などをもとに意味、接続