数と式における学習指導のポイント(高等学校)
1 中学校とのつながりを考えたときの指導上の配慮事項
(1) 中学校とのつながりと高等学校数学の他の領域の内容とのつながりとの両面に配慮して指導すること
「数と式」は中学校数学と高等学校数学との接続を助ける単元であるという側面を持っているので、「この程度のことはわかっているはずだ」という思い込みで判断せず、中学までの学習内容を整理して指導にあたる必要がある。
(2)文字の扱いが抽象化、複雑化するので、具体例を通して理解を深めさせること
立式、式変形を通して、文字のもつ意味や変数としての考え方についての理解を深めさせる。また、文字を含む絶対値や連立不等式等、「場合分け」を含む事項については、初めて学習するので、ていねいに指導をする必要がある。
2 指導のポイント
(1)因数分解や完全平方式について習熟を図りながら、置き換え等の文字の抽象的な扱いに慣れさせ、文字の意味の理解を深める。
1)置き換えによる因数分解に習熟させる。
共通因数の置き換え(例)ax-bx-a+bにおけるa-b=A、x-1=Aなど
置き換えによる公式利用(例)a2-(b-c)2におけるb-c=B
2)展開公式を利用した完全平方式、平方完成の理解を図る。
x2+(A+B)x+AB=(x+A)(x+B)において、
x2+(A+A)x+AA=x2Ax+A2=(x+A)2とみて、
(2)平方完成a2+ab=(a+b/2)2-(b/2)2を図で理解させる。
1)面積がa(a+b)=a2+abの長方形□を考える。 2)アの正方形の右にある長方形をイとウに2等分して、ウをウ'に移動する。
3)面積が(b/2)2である正方形エを加えれば、アイウ'エを合わせて面積が(a+b/2)2の正方形になる。
(3)平方根の意味を具体的に理解させ、計算について習熟を図る。
1)平方根の意味を確認し、√の記号を正しく用いさせる。 (例)4の平方根は±2、√4≒±2、〉√=+√=+・√a
2)根号を含む数の計算法則を正しく理解させ、習熟を図る。