サクシード中学校数学から高等学校数学へ-027/35page

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三角比における学習指導のポイント(高等学校)

1 中学校とのつながりを考えたときの指導上の配慮事項
(1)なぜ三角比を導入するのかを納得・理解させること
生徒はなぜ三角比を定義する必要があるかをよく理解していない傾向がある。
(2)sin、cos等の記号への抵抗感を持たせない指導の工夫をすること
生徒にとっては、初めて学習する整関数以外の関数の記号であり、抵抗感が大きいと考えられるのでそれを取り除く指導の工夫が必要である。
(3)中学校で学習する図形領域の内容をよく確認しながら指導すること
三角形の相似、三平方の定理(三角定規の辺の長さの比を含む)、比の性質、円の性質等、三角比と関連して確認すべき中学校の学習事項は多い。

2 指導のポイント
(1)三角比の定義の際に、相似な直角三角形をかかせてイメージをつかませる。
【なぜ三角比を導入するのかの意義づけ】
1)互いに相似な直角三角形の間で、変わるもの(面積、辺の長さ)と変わらないもの(形状、角度、辺の長さの比)を実感させる。
2)辺の長さの比が角度によって決まることを理解させる。
3)三角比により、1つの三角形において辺と角を同時に計量的に扱うことができるという有用性を具体例を通して理解させる。
(2)三角比の記号や用語に対する抵抗感が大きいことに配慮をする。
1)sin、cos、tanの記号については、例えばsin30゜で1つの数値を表すので、2次関数のところで学習するf(x)の記号とも関連させて意味を理解させる等の配慮が必要である。
2)角の増加に三角比の値が比例して変化しないので、三角関数表で値の変化の様子に触れておくことも必要である。
(3)定義と定理の違いや用語等の整理をしながら、活用できる知識を身に付けさせる。
1)定義や用語はその意味を確認、整理しながら指導する。例えば、二等辺三角形を例に取り、定義(決めたことがら)と定理(定義から導き出されたことがら)の意味の違いを確認させる。
2)三角比に関する定理等は、使うための条件を具体例とともに整理して理解させる。
【例】2辺とはさむ角がわかると余弦定理を用いて残りの1辺がわかる。

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