サクシード2中学校国語から高等学校国語へ-002/81page

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第1章 思考力・表現力をのばすために

1 思考力・表現力を育てる

(1)自分で考えること
 情報化、国際化が進む二十一世紀を担う生徒にとって必要な力は、与えられた課題に対して機械的に答えを探し出す力ではなく、自分自身で問題を発見する力です。自分のテーマを持ち、自分の五感を十分に用いながら、知的好奇心を持って学んでいこうとする生徒を育てることが必要とされるのです。
 また、情報や知識を単に受信することで汲々としているだけでなく、課題を見出し、それを周囲に発信していく力も必要となります。創造的に自ら発信するとともに、他の人々と交流を重ね、自分の考えをより深めていく力を育てていくことが国語科に課された課題であるといえます。
 私たちが生きていることは、ある意味で表現活動そのものととらえることもできます。日々の行動はもとより、自分なりのに物を見、感じ、考えることも、広く考えれば表現活動の一部をなすのです。生徒一人一人の創造力や想像力を育てていくためには、まず、主体的に考え、積極的に表現する場を設けるとともに、日常の授業の中で生徒自身が喜びをもって考える時間を確保することが大切です。また、学習の方法や考え方など主体的に学ぶ道筋を教えることが求められているのです。
 本冊子は、表現における「発想」を中心にして、生徒が考えていくきっかけとそれを深めていく方法を示すことを目的としています。考えを深め、考えたものを的確に表現する上で大切になるものとして、次の三点を取り上げています。
1)問いかけること
2)見えるものから見えないものへ
3)集めることと分けること
 とりわけ、「問いかける」ことは、国語科の学習において重要な意味を持つだけでなく、生涯にわたる学びの基
礎をなすものであると考えます。読み、書き、話し、聞くとともに、積極的に自分で考え、他の人と意見をたたかわせ、よりよい表現を目指してまた考える、ということをくり返すことが、今後、さらに大切になると考えられるからです。
 また、想像力を養うためには、目に見えるものばかりではなく、「目に見えないもの」への思いを大切にして、自分を支えているものや、記憶、夢、歴史などへのあこがれや想像力を育んでいくことも必要です。人が「考える

●受信から発信へ そして、交信へ
 受容から発信へ、そして、交信へと向かうことが今後ますます重要性を持ってきます。他の人との共生を図り、自分の考えを積極的に発信する子供たちを育てるとともに、他の人の痛みが分かる感受性豊かな子供たちを育てるためにも、考えることの意味を問い返したいものです。
 そのためにも、一時間の授業が、生徒一人一人の思考力・創造力を育み、考える喜びに満ちあふれたものとなるよう努めていくことが大切です。

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