サクシード2中学校国語から高等学校国語へ-024/81page

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(6)身近なものから想像する
   一卵からの発想一

●心を豊かにする
 絵本を「よむ」ことは、心を豊かにするという意味でも、また、想像力を培うという観点からも大切なことです。作品は人とともに成長していきます。少年時代に読んだ作品が生涯忘れられず、心の中に灯をともし続けていくことも多いものです。次に掲げるガブリエル・バンサンの作品には、文字がないこともあり、私たちの想像力を刺激する力があります。絵そのものから、読者が想像力をもとに「言葉」を綴っていくことが求められる絵本といえるかもしれません。目に見えるものから、目に見えないものを一人一人が探っていく楽しみがここにはあります。


「たまご」という作品は、荒野におかれた巨大な卵を一人の人が見つける場面から始まります。その卵を見ようとして多くの人がしだいに集まってきます。様々な機材が卵の周辺に運び込まれ、卵の周囲は喧曝に包まれます。
 その後、卵が孵化し…。


 バンサンの作品には、「アン・ジュール」という傑作もあります。中学生・高校生、あるいは大人になっても、絵本のもつ深さを味わう余裕を持ちたいものです。
 卵だけでなく、身の回りのものをもとにして想像力を羽ばたかせることも大切なことです。
「たまご」ガブリエル・バンサン BL出版
「たまご」ガブリエル・バンサン BL出版

卵からの発想
●物との対話
 想像力の育成は、想像することの楽しさを知らせることから始まります。
 何もないところがらでも、新しいものを生みだすことはできます。むしろ、何もないことが自由な思考を刺激し、想像力をはばたかせることになります。
 例えば、天井のしみを見みながらでも、物語や自分だけの世界を想像することはできるのです。
 目の前にあるものと対話すること、ものと語り合うことによって新たな発想が生みだされます。卵だけでなく、鉛筆や消しゴムといった目の前にある些細なものと語り合うことによって想像力を喚起したいものです。

◆生徒に薦めたい絵本
 「スイミー」レオ・レオー二 谷川俊太郎 訳
 「あおくんときいろちゃん」同 藤田圭雄 訳
 「月夜のみみずく」J・ヨーレンエ 藤直子 訳
 「アンジュール」G・バンサン
 「旅の絵本」安野光雅
 「スーホの白い馬」大塚勇三 再話 / 赤羽末吉 画
 「はるにれ」姉崎一馬 写真

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