サクシード2中学校国語から高等学校国語へ-023/81page
●想像力の育成
豊かな発想を生みだすためには、想像力を自由に羽ばたかせることが大切です。想像力を育成するために必要なことは、現在の自分だけでなく、過去や未来に向かって自分を開いていくことです。具体的には、次の五つの内容で考えてみましょう。
一 身近なものから想像すること
二 未知の世界を想像すること
三 ストーリーを想像すること
四 夢や記憶から想像すること
五 自然に思いをはせること
←一枚の写真から想像する
部が、彪大な量の水の全てが、波一つ立てずに昇り、それを見るぼくが昇っている。雪はその限りない上昇の指標でしがなかった。
どれだけの距離を昇ればどんなところに行き着くのか、雪が空気中にあふれているかぎり昇り続けられるのか、軽い雪の一片ずつに世界を静かに引き上げる機能があるのか。半ば岩になったぼくにはわからなかった。ただ、ゆっくりと、ひたひたと、世界は昇っていった。海は少しでも余計に昇れればそれだけ多くの雪片を溶かし込めると信じて、上へ上へ背伸びをしていた。ぼくはじっと動かず、ずいぶん長い間それを見ていた。
(「スティル・ライフ」池澤夏樹 中央文庫)
授業の窓
授業の中でも、ほんの数秒間、目を閉じる時間をとると、生徒が考える契機となります。小説の情景を想像させることも、目を閉じることによってできるものです。
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