中・高連携のために-029/136page

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6 平成11年度に実施された研究授業の成果
◆授業研究と実践について―国語科―

平成11年度は、平成9年度から始まった本研究会のまとめの年ということもあり、中・高教員によるT・Tなど各地区で意欲的な試みがなされました。

■県北地区では、中・高ともに「徒然草」を教材として取り上げ、中学校では発展学習として、高校では導入学習として中学での既習事項をもとに授業を展開しました。中学校では音読から部分訳へさらに作品の大意をつかむ指導が、高校では文法事項を含めた口語訳から筆者のものの見方を考えることができるよう指導しました。また、高校の授業ではT・Tによる授業も実践しました。

■県中地区では、中学・高校ともに「伊勢物語」を教材として取り上げ、心情把握、主題把握を目標として、グループ学習を中心に行いました。中学では音読や朗読を多く取り入れ、古典に親しむ態度を重視し、高校では古人のものの考え方に触れ、自分自身との比較から人生や人間社会を思索させる授業を展開しました。

■県南地区では、和歌について、中学校での学習事項を確認しながら高校でT・Tの二つの授業を行いました。歌人及び俳人の言葉へのこだわりを確認するとともに、音読を重視することで古典を読み味わう喜びを実感させる授業と、「恋」というテーマで和歌に迫り、中学校から高校への橋渡しをし、自らの感じたことや考えたことを文章で表現させる授業を展開しました。

■会津地区の授業では、中学での既習事項である漢詩の形式を確認し、導入の工夫を図るとともに、五感を働かせた読みを重視する工夫をし、中・高の3人によるT・T授業を実施しました。またもう一つの授業では、「山月記」を取り上げ、発表を中心に生徒自身に考えさせ、登場人物の心情理解に迫る授業実践を行いました。

■いわき地区では、中・高の教員によるT・T授業を実施しました。「古今和歌集」の読解を中心とした授業では、変体仮名で書かれた和歌をもとに導入を図り、中学校との連携を考えさせる授業を行いました。また、齋藤茂吉の短歌を取り上げ、中・高の教員がそれぞれの役割を明確にしたT・T授業を行いました。どちらの教材も中学校ですでに学習している作品であり、親しみやすい教材ですが、生徒の興味や関心をそらさないための工夫の凝らされた授業でした。

■相双地区では、小説「濃紺」をT・Tによる授業と単独の先生による授業との二つの班にわかれ、2時間連続で行いました。T・Tによる授業では、コンピュータを活用して、心情理解と主題把握を行い、もう一つの班では、中・高の教員が同一クラスをそれぞれ別の指導形態で授業を行いました。グループ学習の活用や生徒の自主的な学習をどう生かすかについて示唆に富んだ授業になりました。

どの地区の授業も中・高の教員が、学習指導案作成の段階から互いに意見交換を行い・中学校の既習事項をもとに連携し合あった結果、意義深い研究授業となりました。

 


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