児童生徒の夢がかなう福島の教育の実現に向けて -091/157page

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3 実践の考察

基礎・基本の明確化

 本実践の目標に到達するための基礎・基本として「楽器の持つ固有の音色やその美しい響きに関心を持ち、意欲を持って楽器を演奏する」こととした。情意面に重きを置きながらも能力面をも合わせて身に付けさせたいと考え、まず「音色に関心をもって聴くことができ」「音色に気を付けて演奏できる」姿の具現化のために設定した音さがしや児童の範奏やビデオ鑑賞の活動は成果が認められた。
 目指す姿を明確にすることが授業の組み立てや題材の流れを明確にし、効果的な指導に結びつくことが確認できた。本事例のような主題による題材設定の授業では特にそのことが重要である。また、目指す姿は学習指導要領の該当学年の表現及び鑑賞の目標・内容をもとに設定し、児童の実態を踏まえながら情意面と能力面の両方に目を向けることが大切である。


音楽との主体的
なかかわり

 音楽を愛好する心情を育てるためには、音楽に対して主体的にかかわる音楽経験を積み重ねることが大切であると考え、「既習の経験を生かすこと」そして「成就感を味わうこと」ができる場を題材の中で設定した。
 実践を通して、教材曲と既習の経験を結びつけて児童の学習のぺースを考慮しながら学習を進めることと、その過程で「歌えた」「演奏できた」という経験を積むことが次の段階の学習の充実に結びつくことが確かめられた。さらに、既習の経験をもとに主体的な働きかけを促す場合にはグループでの学びの経験やその人数などの条件に十分配慮することが大切である。また、教師の楽曲に対する表現のイメージをもちながらも、児童の理解力や表現の技能などに応じた具体的な表現のイメージを理解しようとすることが大切である。


協カ的な指導の工夫

 児童の表現意欲の高まりに応えるため、部分的な協力的指導 (T・T) が効果的であると考えた。題材全体ではなくグループの表現を練り上げる授業の時間という部分で児童に最も適切な指導ができればよいと考え、学校の実態にあった実現可能な形で設定した。
 実践から、学び方を確認する場面や児童の表現を練り上げる場面で協力的指導 (T・T) が効果的であり、特に児童の表現意図がはっきりしている場面では、表現をどう練り上げるか気付かせるという教師の役割は重要である。また、児童のぺースを大切にして学習を進め、個々の表現意図に沿った活動に自信を持って取り組ませる上で T・T は極めて効果的である。本事例のように学校の状況に応じた弾力的な工夫が今後はさらに重要になってくる。


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