教育福島0001号(1975年(S50)04月)-019page
単なる楽しい思い出づくり、仲良しになった、少し協力し合う気持ちが生まれたといった程度で終わってしまうにちがいない。少なくとも二泊以上の研修期間が必要と思われる。
イ、就寝時の児童のようすと変化集団宿泊指導において、「睡眠」の指導の占める役割は大きい。
生活時間について述べたように福島県少年自然の家での睡眠の時間は、児童の家庭でのそれよりも短かい。そこで、児童の健康管理翌日の充実した研修のためにこの睡眠をきわめて重要なものとしてわれわれはとらえている。
一般に、集団で宿泊することによる興奮、寝床が変わったことによる生理的、心理的な緊張から一泊目の夜はなかなか寝つけない児童が多い。そのとき、それを放任することは、明らかに翌日の研修に影響が出ることを意味し、また他の団体への迷惑につながることになる。
この睡眠の指導こそ、集団宿泊の指導の核であろうと考えたい。「他人への思いやり」を持つことが集団宿泊生活のルールの基調となるものであり、すでに眠りについた仲間のために、他の団体の人のために、静かにベッドに身を横たえている−−その姿の中に、友愛の精神、協同の精神の現れを見ることができるのであると考える。集団の規律は、そういったところから生まれてくるのではなかろうか。
三泊四日の就寝の状況を眺めてみたい。(五年生)
〇一泊目……ロッジで就寝。消燈時九時三十分になっても明かりを消さないロッジがある。話し声が大きい。担任、所員が各ロッジを回り、「眠れなくともよいから、静かにしょうね」「眠っている人もいるんだよ」「明日がつらいぞ」などと静かな語りかけの口調で話しかけ、眠りへいざなっていった。引率指導者も各ロッジに分かれて就寝。
便所に行く時の児童の話し声は大きい。十時三十分ごろまで話し声笑い声が絶えない。以後、しだいに静かになり十一時ごろ静かになる。
(翌朝「早朝経験」のため、午前四時三十分起床。午後は座学と休息)
〇二泊目……宿泊室で就寝。九時二十分ごろから各部屋静かになり、九時三十分には、眠りには