教育福島0001号(1975年(S50)04月)-034page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

わが市の生がい教育

 

市民性のかん養をめざして

二本松市教育委員会

 

親子キャンプの朝

親子キャンプの朝

 

一、はじめに

「あれが阿多多羅山、あの光るのが阿武隈川」と智恵子抄にうたわれた当市は麗峰安達太良山の懐に抱かれた詩情豊かな歴史の町である。静かな環境、素朴な土地柄は古来幾多の著名な学者文化人をはぐくんできた。一方現代における精神文明は、急速に発達して来た物質文明のはん濫に押しひしがれてはなはだ嘆かわしい風潮を呈している、道徳観、価値観、人間関係、地域社会等各方面において、まさに大きな変革をきたしていると言えよう。当市では住み良い郷土、豊かな市民性の実現を図ることを前提に七年前市長が提唱し、市民の大きな共感を得て推進して来たものとして公徳心高揚運動がある。運動の推進母体は、二本松市公徳心高揚運動推進協議会であり、すでに市民総ぐるみ運動として全市民が会員となりまた町内会商工会議所、各種社教団体小中高校など、すべての団体機関がこれに参加している。市としても公徳心の高揚を例年市政の重点施策の柱に掲げ各行政の中でその推進方を図っているが、その主管課は社会教育課で、各行政の連絡調整をはじめ、当運動方針の策定、同運動推進協議会の指導などに当たっている。一方社会教育の持つ特質である市民と行政の掛け橋、市民の自主学習のサービス機関としての機能は、当運動のより一層の浸透化を図るために最も効果的な役割を果たすものと各方面から期待されており、そうした背景からも当市の社会教育活動は、公徳心高揚運動を基幹とした方針のもとに展開しているのである。

二、事業活動

公徳心を高揚し住み良い町、心豊かな市民を育てるための社会教育の振興策として、市は昭和四十六年都市青年の家、勤労青少年ホームを建設し、市民会館、中央公民館をこれらに統合して市文化センターを発足させ、更に昭和四十八年社会教育課を新設して職員や予算面も加えての条件整備を行った。また、社会教育事業を振興し年々高度化かつ多様化する市民の学習要求にこたえるための努力を続けている。ここで当市の四十九年度における社教事業に触れ活動の一端を紹介してみたい。

(一)青少年指導

1)少年活動研修会

地域子供会等において、その中心となるジュニアリーダーの養成を図る。(小学六年生百人、年間二十五回、野外活動、宿泊研修、奉仕活動など)

2)親子キャンプ大会

自然に親しみ野外生活を通じて親と子の心の触れ合い、健全な心身の鍛練を図る。(五十人 一泊二日)

3)青春教室

4)青年政治講座

5)勤労青少年の祭典

(二)成人指導

1)市民講座

2)家庭教育学級

3)婦人学級

4)高齢者学級

(三)文化レク指導

1)市民文化祭

2)郷土史セミナー

(四)体育指導

1)OL二本松大会

2)市民スポーツ教室

3)市民ハイキング

三、おわりに

公徳心高揚運動のような人間の心に触れるこの種のものは、市民一人一人の自覚にまつところが大であり一時の運動でその成否がどうなるものでもなく地道で息の長い活動を必要とするところである。今後も市民性のかん養とあいまって、社会教育のあらゆる施策の中で常に取り上げ、学習内容、活動上に具現化し、波及的効果を期して行くものである。

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。