教育福島0002号(1975年(S50)06月)-014page
(三) 教材精選の手順
(1) 前後の学年の目標との関連で当該学年の特性を考え、学年の目標を明確にする。
表1学年目標の重点
(2) 学年目標の重点を中心に置き、指導要領に示されている指導事項を分析し重点化を図る。
その際、児童・生徒の実態や言語環境の実態等を考慮するとともに、指導事項の系統と関連を抑えるようにする。(表2)
(3) 更に、指導要領の「内容の取り扱い」(指導時数や題材選定の観点等が述べられている)や教科書教材を検討して教科書教材の指導のねらいを明確にする。(表3)
(4) 指導事項と教材の指導のねらいの検討の結果から、教材の取り扱いの軽重や補充すべき教材を検討する。
表2 指導事項の重点(読むこと)(例)
( )学年目標 ◎中心技能 ○中心技能を支えるもの △語句関係
表3 指導事項と教材関連表
二、教材精選の実践例
喜多方市立第一中学校
教育の現代化という主張とかかわって、国語科でも探究し、創造する態度の育成や転移する学力の形成をねらって、「教材の精選」が考えられる。本校においては、いかに教材自体の解釈を深めて行くかということが問題で、そのことに努力しているのが現状である。具体的には教材の選択をすることであり、教材の構造を図り、指導事項の精選をすることであると考えられる。そんな心構えで教材を読んでみた。
(一) 単元名 「論理と構成」
(二) 単元の構成
・単元の前書き・学習の主な内容
1文章の論理的な構成を読み取る
(一)科学と抽象 (二)機械との共存
〈文法3)(一)文章の組み立て〉
2根拠に基づいて正確に書く
(一)わが城山町
〈作文の練習−事実と意見〉
(三) 単元の指導に当たって
(1) この単元は「文章の論理的な構成を読み取る」ことと「根拠に基づいて正確に書く」こととを重点とする単元である。ここでは特に読むことの方を考えるが、この場合二つの教材がある。そこで(二)「機械と共存」に重点をおいて指導する。
(2) 教材の持つ内容的価値についても生徒の問題意識をかき立て探究して行く過程で、読み取りの能力を指導して行く。
(3) 作文教材との関連で論旨の展開の筋道をしっかりと読み取ると同時にどんな事実を論拠として述べられているかを読み取るように指導する。
(4) 指導方法に工夫をこらすようにする。生徒一人一人が学習活動できるよう学習の作業化を考えて行くようにする。
(四) 主教材「機械との共存」について
(1) 基本的事項
1) 機械と人間の共存する現代社会の問題点を理解するとともに、この若くて粗暴な機械文明を、平和で思慮深い文明に変えて行くことを目指すべきである、という論旨を理解する。
2) 論理的な組み立てを読み取る。
(2) 論の展開と構成……1)のみ