教育福島0002号(1975年(S50)06月)-013page

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各教科における教材精選の進め方

 

■ 国語科 社会科 算数・数学科 理科 音楽科図工・美術科 家庭科 技術・家庭科 体育・保健体育科 外国語科 道徳の時間 特別活動 ■

 

国語

 

一、精選の考え方

 

(一) 教材精選の必要性

国語科の目標は、生活に必要な国語を正確に理解し表現する能力及び国語を尊重する態度を養育することである。

この能力と態度を言語活動の領域別に考えてみると、「話を正確に聞き取る」、「わかりやすく効果的に話す」、「文章を的確に読む」、「文章を適切に書く」、「文字を正しく整えて書く」ことが基本的なものとしてとらえられる。

教材の精選は、これらのねらいがより適切に達成されることを目指すものであることは言うまでもない。

ところが、国語の指導は、一般的に難しいと言われ、「何を指導すればよいかをはっきりとらえにくい」ことがその理由としてあげられている。

このことは、国語科の「指導内容」は、学習指導要領の外部から、教材や資料が選定され、それによって学習活動が行われたとき初めて具体的な形をとるのであるが、その際、目標や指導事項が大きくなりすぎたり、広がりすぎたり、あいまいになってしまうことから起こる混乱だと考えられる。従って、目標の明確化を中心にすえて、教材の精選を取り上げる必要がある。

そのためには、国語科の指導事項を系統的・構造的には握し、領域ごと・学年ごと・教材ごとの重点を明らかにし、明確な目標、的確な内容、適切な方法を求めて指導計画を検討する必要がある。

(二) 教材精選の観点

学習指導要領に示されている指導事項は、それぞれの学年において指導しなければならない事項ではあるが、平均的に取り上げていたのでは、時間不足の中ですべて不徹底に終わってしまう危険性がある。

従って、多くの指導事項の中から、重点的に取り上げる事項と副次的に取り上げる事項とに分け、更に、それらに対応する教材と学習活動を検討し精選を図る。

○指導内容の構造的は握

学習指導要領の国語科の目標や指導内容(指導事項と活動)を分析し、具体化して構造的には握する。

○教科書教材の検討

指導内容と教科書教材とがどのような関係にあるかを比較検討し、軽重を考える部分、他と統合して扱う部分などを明らかにする。

 

指導内容(例)

○指導目標の明確化

 

○指導目標の明確化

国語科の指導計画では、指導目標を抽象的に大きく掲げたり、予想される言語活動のすべてにわたっての目標が並列的に取り上げられていることがある。

目標をいたずらに多くすることは、結局焦点の定まらない授業に陥ることであり、「国語の授業は、どの教材もどの学年でも同じように扱っている」の指摘どおりになってしまうことになる。

また、目標があいまいであると、それを獲得する学習活動も方法もはっきりしない。そこで、学習目標は、児童生徒が確実に到達でき、具体的な行動を通して目指すことのできるようなものに砕いて設定する。

○指導過程と指導時間の精選

指導内容の精選が行われても、指導法に欠陥があればその成果はみられない。

指導過程では、学年の発達段階や文種の違いや、指導事項の軽重により工夫されなければならない。

また、指導時数については、年間の指導計画作成の段階で、領域別比重を確認して、かたよりのない時間配分をしておくことが必要である。また、単元や教材への配当時数は、指導事項の重点化の結果を反映するようにして、精選された学習内容を実質的、具体的にする。

 

 

 


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