教育福島0002号(1975年(S50)06月)-016page
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |
○ 言語能力と作品そのものの内容を読み取らせるという国語科の持つ指導内容の二面性への切り込みを、生徒の主体的活動として、必然的な指導過程を組み立てること。
○ 指導目標とそれに対応する指導事項の抑え方の妥当性。以上のような試みが見られるが、いずれも国語科における教材精選の視点としてかぎとなるものである。
これらの視点を踏まえて、更にきめの細かい実質的な教材の精選、指導過程の組み立てを工夫するようにしたい、
そのためには、目標・指導事項の吟味、生徒の実態は握、教材分析などを更に進める必要がある。
社会科
一、精選の考え方
(一) 教材精選の必要性
社会科は、社会事象を学習の対象として、社会事象の根底にひそんでいる本質や意味を正しく理解させて行くことをねらいとする教科である。
技術革新の時代にある今日、学習の対象となる社会事象についての知識の量も急激に増え、産業構造の変化や社会の進展に従って内容も複雑化して来ている。
このようなときに当たって、ただ単に断片的な知識を数多く指導して行っても、社会事象を確かに見る目や社会のしくみを意欲的にとらえて行く能力の育成を図ることは困難である。
情報化時代における社会科の学習指導は、児童・生徒が学習課題を的確には握し、問題意識に支えられて意欲的に学習を進め、社会的な意味や法則を自らの力によって発見して行く能力態度を育てて行くことを基本としなければならない。
そのためには、指導目標に迫るための基本となる教材をえりすぐり、教材内容を構造的にとらえ、ゆとりある内容を持って指導に当たることが必要である。
(二) 教材精選の観点
単元や授業目標に迫るための最適な教材を選択し、児童・生徒とのかかわりあいの中で教材を見直し、質的に高めて行くことを教材の精選と考えれば精選の観点として次のことをあげることができる。
(1) 学習指導要領の目標・内容に適合するもの。
(2) 単元や一単位時間の授業のねらいに適し、教材群の中で典型となるもの。
(3) 教材の持つしくみや、系統性、関連性が明確で転移性のあるもの。
(4) 児童・生徒の発達段階や能力に適したもの。
(5) 観察力、資料活用能力、思考力を伸ばすことのできるもの。
(6) 児童・生徒の興味関心を引き起こし、問題意識を深め、主体的に取り組んで行けるもの。
(7) 地域の特性や実態を踏まえたもの。
(8) 社会の動向や現状をとらえたもの。
以上は、精選の一般的観点としてあげたものであるが、このほかに、各分野における精選の観点が考えられよう。
◇歴史的分野における観点の例
(1) 時代の特色をよく表している代表的なもの。
(2) 他の時代と比較して、特色のあるもの。
(3) 時代の推移を考えるうえで、極めて重要なもの。
(4) 歴史上極めて大きな意義を持つもの。
(5) 日本の国民として、必ず知っておくべきもの。
◇地理的分野における観点の例
(1) 地域における自然の特色をよく表しているもの。
(2) 地域における農業や工業生産活動の代表的なもの。
(3) 自然の開発に工夫が見られるもの。
(4) 地域の変ぼうを表すもの。
(5) 地域相互の関連を表すもの。
(6) 他地域と比較して、生活や産業において特色がみられるもの。
(三) 教材精選の手順
教材の精選・重点化を図る場合には指導計画、単元、一単位時間とそれぞれの段階において、次の手順によって進めて行くことが大切である。
(1) 学習指導要領の目標・内容の読み取りを確かにして、指導計画を作成する。
1)目標・内容に示されている文末表現(−を理解させる。−について気づかせる)に注意し、重点目標や基本となる内容を抑える。
2)学年、分野における系統、関連を抑える。
(2) 単元(小単元)における教材の精選を図る。
1)単元目標に迫るための重点教材の位置づけや配列を工夫する。
2)指導時数から見て、教材の分量をおさえ、重点のわく付けをする。
3)教科書研究を深め、重点化されている教材を選択する。
4)地域の実態から見て、適切な教材を取り上げる。
5)教材の構造や関連を明らかにする。
(3) 一単位時間における教材の精選を図る。
1)目標の具体化を図り、目標に直結する教材を明確にし、構造をとらえる。
2)教えるものと学び取らせるものをはっきりさせる。
3)既習の学習との関連や、児童・生徒のレディネス、能力から見て教材の重点化を図り、学習活動と結びつける。
4)能力育成、指導過程、学習形態から見て教材の配列を工夫し、分量を抑える。
5)教科書、地図、年表等の資料や教具を効果的に位置づける。
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |