教育福島0003号(1975年(S50)07月)-016page

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い数字を示している。

ところで、福島県警察本部防犯少年課「少年の補導及び保護の概況」.によると、昭和四十九年中に、県下各署で補導した非行少年等の総数は、前年に比べ、二十五%の増加を見ている。

その内訳を見ると、学生・生徒が全体の六十二・八%を占め、学生・生徒のうち高校生は七十・四%で最も多く前年に比べ著しい増加(前年比四十四・八%増)を示している。反面、小・中学生は十%程度減少している。なお高校生は補導総数の四十四・二%に当たり、その構成比は、刑法犯少年四・六%、ぐ犯・不良行為少年九十五・一%、特別法犯少年〇・三%となっている。

更に、同じ資料によって、ぐ犯・不良行為の内訳を見ると、交通法令違反で補導された者が圧倒的に多く、ぐ犯・不良行為総数の三十八・五%に及んでおり、次いで、夜遊び(十八・五%)喫煙(十五・四%)、不健全娯楽(八・七%)、怠学(三%)の順に目立っている。

また、学生・生徒のうち、高校生の占める比率は、交通法令違反で八十七・一%、喫煙で八十三・三%、不健全娯楽で八十一・七%、不純異性交遊で八十一・一%、夜遊びで七十九%、飲酒で七十三・八%、薬物乱用で七十三・九%に達していることがわかる。次に、高校生男女の比率については、女子はわずか四%にすぎない。−ちなみに小学校女子が十一・八%、中学校女子が十・五%の構成比を示している。−しかし、行為別に検討すれば、不純異性交遊については五十四・七%、家出については四十四%と極めて高い比率を示しており、女子生徒特有の問題を提示している。また、金品持出、金銭乱費は、小・中学生が圧倒的多数を占め、高校生は、それぞれ十七・一%、六・三%にとどまっている。

最近の高校生非行の傾向を概観すると、次のようになろう。

(一) 動機(物欲、好奇心、偶発的なでき心、付和雷同などが指摘されている)において、単純な、いわゆる「遊び型非行」が目立っている。

(二) 非行の集団化現象と、卒業生や他校生及び地域の有職・無職少年との共同非行が増加している。

(三) 喫煙経験者が増加し、一部には常習化の傾向が見られる。

(四) 不健全な男女交際と潜在的性非行が増加の傾向にある。

(五) 環境には余り関係なく、普通の性格、普通の家庭環境(両親健在で、経済的不自由のない家庭一の生徒に、比較的多く見られる。

(六) 異性との交友に端を発する家出が目立っている(親子関係や家庭生活に対する不満と複合している場合が多い)。

(七) 学業不適応からくる怠学や夜遊びなど、容易に非行に結びつく行動が増えている。

(八) 無免許運転、速度違反、三人乗りなどの交通法令違反は、いっこうに減少せず、依然として横ばい状態にある。

 

三、問題行動の早期発見

 

ある日、突然起こるような問題行動は考えられない。必ず、どこかにほう芽があるはずである。しかし、周囲の人々も、本人自身さえも、それと気づかぬうちに成長していく場合が多い。そして相当に発展し、顕在化してからでないと、問題生徒に気づかないことがある。時には、新聞に掲載されたり、警察から通報があったりして初めて知ることもある。このようなことが、度重なると、教師は常に問題の事後処理に追われて、すべての生徒の健康な人格の発達、又は精神的健康の維持・増進をはかるといった生徒指導本来の目標の達成をおろか、問題行動や非行の未然防止も全くおぼつかなくなる。早期に発見し、あるいは潜在的なほう芽のうちに、これを知ることができ、後手にまわることなく、早期に治療にかかることが可能な場合は、問題生徒の自己修復もそれだけ早く、それだけ容易になされるであろう。

ところで、早期発見のためには、一般に、次のような方法が考えられる。

(一)「観察」生徒理解の基本的な方法であって、生徒の日常行動を偏見や先入観にとらわれず、常に新鮮な目で観察することによって、生徒の持つ問題を早期に発見するこ

 

ぐ犯・不良行為少年補導状況  (昭和49.1〜昭和49.12)

別内でのパーセントで示した。  県警本部防犯少年課「少年非行の概況」から

数字は,学校別内でのパーセントで示した。  県警本部防犯少年課「少年非行の概況」から

 

 

 


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