教育福島0003号(1975年(S50)07月)-024page
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めるかが、大きな課題と考えられる。
確かに、今回の研究は、今までの進路指導に反省と再検討を加えるよい機会であったと同時に、職員・生徒が、進路指導とは何かと自問し、協力を深める契機とすることができたことは、大きな収穫であった。(県立平工業高等学校)
平工業高校の中間発表について
高等学校教育課
高等学校における進路指導には、いろんな問題がっきまとっている。わずかながら例をあげれば、担当教師が来客の応待や定型的な事務作業に追われがちであること、生徒の自覚や適性理解に困難がつきまとうこと、年々増大する一方の進路情報が急変し陳腐化していくこと、等々である。
進路の選択が生徒の一生を支配する重大事であり、高校教育の目標一学校教育法第四十二条一に照して進路指導が重要であることは、理念として理解されていても、現実問題として就職・進学のあっ旋に終わりがちなのは、この中間発表にも指摘されているとおりである。
このような現実認識の上に立って、あるべき方向を求め、その研究成果の実践を目指している平工業高校の取り組みへの期待は大きい。
ここに掲げたものは、研究第一年度の中間発表である。調査結果等については、綿密周到な資料のうち、ごく一部(約七分のこしか載せることができなかった。先生がた一丸となっての研究体制を十分に紹介できないのは心残りである。
その研究主題は適切であり、その設定理由は説得力がある。進路指導は、生徒が将来の社会生活(職業生活)の中で、いかに自己実現を図るか、ということのための指導援助のプロセスである。発表の中では、情報過多の時代と言われる現実の中で、よりよい指導計画と指導体制の確立が意図されている。しかも、それをまとめていくための手だて、諸資料の収集・整理・活用等の見通しや関連性も明示されている。また、担任教師と生徒(及び保護者)との橋渡しとなる「進路相談票」については、教師用・生徒用と二種の準備がなされ、その印刷設計にも行き届いた配慮がなされている。
このように有意義な、そして困難な研究との取り組みの中で、なお今後解決すべき課題も多いように思われる。
例えば、
(一) 生徒の不安と悩みの調査によれば、学力は分かるが適性が分からない、とする生徒が最も多く、しかも、その相談相手として、先生を選ぶ比率は極めて低い。
このことは、他校においても大同小異であろうが、この空げきをどう埋めるかは、重要課題であろう。
(二) この研究課題は、生徒の調査・検査・観察・相談・HR運営等を含めて、大規模な展開を見せているが、教師サイドの研究に終わることなく、生徒とのかかわりの中で進められ、この研究のプロセスが、生徒の生がいと学校の実践活動の今後に実りと充実とを感じさせるものとなるよう期待したい。
(三) 一人一人の生徒が進路の選択を誤らないためには、生徒の自己理解を深めさせ、更に生徒が自分自身と希望する進路とを結び付けて考えることが必要となる。このような「進路の吟味」のために、適切な情報提供と適切な指導助言をどのように進めていくか、そのための指導組織をどう形作っていくか、これまた大きな課題となろう。
ともあれ、この中間発表の結びに述べられている次のような言葉は、研究完成年度を目指しての意欲の高まりを感じさせるものであり、その成果に期待したい。
「今回の研究は、今までの進路指導に反省と再検討を加えるよい機会であったと同時に、職員・生徒が、進路指導とは何かと自問し、協力を深める契機とすることができたことは大きな収穫であった。」
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