教育福島0003号(1975年(S50)07月)-035page
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わが町の生がい教育
わが町の家庭教育
田村郡三春町教育委員会
生がい教育の立場から家庭教育をどうとらえるか。
一、生がい教育の位置づけ
近年私たちは、ここかしこで生がい教育≠ニいう言葉を耳にすることが多くなりましたが、果たして生がい教育とは何か、と問い直されると、意外に言葉に窮し、幼児から高齢者までを対象とした社会教育といった程度の認識で済ましがちです。
そこで私たちの町では生がい教育を
(一) 生がい継続し得ること1自己の学習、自己の形成を「中断なく」行い得るように教育制度、体制、構造方法を考える。
(二) 自己学習、独学を可能にすること−町民が自分の希望に応じて自己の持つ能力を発揮できる環境作り。
(三) 地域住民(三春町民)という共同体の中で自分と町のかかわり合いを考える。
以上三つの観点からとらえ、各種の教育活動、学習活動を実施しています。
二、家庭教育の位置づけ
現代の家庭は、家族構成の変化、生産・経済状況の変化、科学技術の進歩等の影響を受け、これらへの適応を余儀なくされています。ここに社会教育の必要性が生じてきたものと思われます。このような観点から、三春町では従来から実施してきた学校単位の家庭学級の他に、就学前児童を持つ母親を対象に、「ママさん学級」を昭和四十八年から実施しております。この家庭教育学級の目的は、
(一)自分たちで自分たちの家の「教育方針」を作れるようにする。
(二) 幼児・児童に必要な、生き方に対するしつけを行えるようにする。例えば、家庭だんらんを通して楽しい生活の場を工夫する。
(三) 楽しい生活の場を通して、○生活マナーを習得する。○人のために尽くす心を育てる。○苦しいことでも堪え忍んでやる。○親を思い、兄弟を思い、生活を思い、姉妹を愛し自分で自分の責任を負うことのできる人間を作る。
以上のような人間生活にとって欠かすことのできない、いちばん大切な土台作りを、小学校に入学するまでに実施することをねらいとしています。
実施に当たって大きな問題点となったことは、
(一) 該当者を調査した結果、幼児を二人以上抱えた主婦、職業婦人が多いこと。
(二) 共かせぎの家庭が多いこと。
つまり家庭教育をいちばん必要としている家庭で、その必要性を感じながらも学習する時間的余裕のない人たちが大半を占めているということです。
このような悪条件にもかかわらず、学級に、二十六名の母親が応募して月二回土曜日の午後、学習を実施しています。
学習方法は、講義方式をできるだけ避け、テーマを設けた話し合いにし、日ごろ自分の家庭で起こったできごとなどを話し合うことにしています。
当初、お互いに気心が知れないせいか、話し合いもスムーズにいきませんでしたが、料理実習、コーラス等の学習を通し、次第に話し合いも活発になり、家庭でのしつけについても、お互いの体験をもとにした内容豊かな話し合いができるようになりました。このような方法で二年間実施してきましたが、学級生との反省会の中で、次のような問題が出されました。
(一) 時間的余裕がない。
(二) せっかく学習して家で実施しようとしても、なかなか家族の協力が得られない。
(三) 子供を連れてきても安心して学習できる場・施設が欲しい。
今後の三春町の課題は、これらの要望を踏まえ、家庭教育学級をいちばん必要としている家庭に、いかに対応していくかにあると思われます。
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家庭教育学級風景
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