教育福島0003号(1975年(S50)07月)-036page
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |
わが市の生がい教育
わが市の高齢者教室
白河市教育委員会
現在わが市では、白寿教室・長寿教室の二つの高齢者教室を開設している、
昭和四十八年度から補助事業としている白寿教室から触れてみたい。
この教室を開設するに当たり、教育委員会では市内にある老人クラブに働きかけ、会員の中で高齢者自身の学習意欲が盛り上がっていた時期をとらえて、開設への準備にとりかかった。
![]()
市内には二十三の老人クラブがあり約千三百の会員がいるが、試みということもあり、とりあえず各老人クラブの会長が責任を持って、指導的立場にある者を三名ずつ推薦し、約六十名の受講生によってスローガンを掲げ、新装なった老人センターの一室でスタートした。
受講生は農業に、商業に、そして教育行政等に大きな業績を残してきた指導的な資質を備えた高齢者で、”社会変化の理解”、”若い世代の理解”に主眼を置いて学習を重ねてきた。
学習が進むにしたがい、地元からの受講希望が増え、高齢者をもっと参加できるような配慮が欲しいという要望から、一年後には長寿教室の開設をみた。
この教室は、市内六地区を一年ごとに交替していくもので、昭和四十九年度は小田川地区の高齢者を対象に、他地区は自主開設としてスタートし、本年度は大沼地区に開設した。
![]()
白寿教室に比べると、農業を営んでいた者が主で、老人の健康管理=A社会の変化の理解≠ニいうものに主眼を置いた。
学習することが人々にとって生きがいを与えるものであるとするならば、その機会をできるだけ広く提供していくことが、行政の必要課題であろう。
この地区でも、一年前から白寿教室に参加していた高齢者が数人いたことから、学習内容によっては自から助言者となったり、講師陣の手助けをしています。このことは、教室開設のねらいが時宜を得ており、将来に期待するところ大きいと言える。
教室をのぞいてみると、ノートを忘れたのか懐から紙きれや手帳を出し、震える手に鉛筆を持ちメモする者、せき込んでいる者、背筋を丸め腕を組みながら目を閉じ静かに聞き入っている者など、さまざまな高齢者の姿から、生きがいのある生活を豊かに送ろうという意欲が見られる。話し合いの時間になるとすばやく手を挙げ、「先生!一言申し上げたいことがございます…」とつとつした言葉であるが、納得のいくまで質問する真しな姿に、明治青年の気迫が感じられた。各老人クラブの指導者(幹部)を対象にした白寿教室、そして地域の後継者の育成を目的としている長寿教室は、今新たな実践活動を展開しているが、共通して、
(一)、老人クラブの会員が主体であり、非会員への呼びかけが弱い。
(二)、全体的に娯楽的ムードが強い。
(三)、話し合い、調査を取り入れた共同学習が少ない。
等問題を抱いている。
更には、高齢者といっても、一人暮らし、寝たきり老人ではなく、比較的恵まれた元気な高齢者がほとんどであり、福祉の対象を除いた老後生活者を対象にしていることから、今後は、いわゆる子守り型高齢者教室ではなく自から学ぶ学習の場と機会を提供し、すべての者に生がい教育の重要性の認識を深め、生きがいを与えることに努力していきたい。
![]()
長寿教室風景
![]() ![]() ![]() |
![]() ![]() |