教育福島0004号(1975年(S50)08月)-011page

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実践例

複式学級における活用

南会津郡下郷町立旭田小学校

 

複式学級の授業で間接指導の手だてがじゅうぶんな場合は、直接指導も深められ、両学年とも満ちたりた一時間を過ごすことができる。しかし、毎時の準備となると、つい間に合わず、その場しのぎのドリル等で時間を過ごしてしまいやすい。そんなときの心の空白とあせりはどうすることもできない。複式学級の授業における間接指導の手だては、授業者にとって悩みの種であった。その後複式学級担当者研究会でシート式磁気録音機が教師の片腕になれることを知り、複式学級の授業に取り入れることを分校研究会で話し合い試みた。シート式磁気録音機が備えられた当時は、録音に多くの時間を費やし、力尽きてしまいそうなことも度々あった。しかし、研究を重ねると、シート式磁気録音機の効果が大きいことが分かるとともに、活用の至難さも分かり、市販のシートを有効に取り入れていくことが長続きできる解決策であることに気づき、現在は、市販のシートも活用している。シート式磁気録音機の効果的な活用については、分校研究会の組織を生かし、学期に一単元のリレー式授業研究を進め、自作を含めた研修を実施している。

一、研究実践例

(複式学級一・二学年算数−ひき算)

(一) 二学年では、何百より何十を引く減法計算の仕方で、被減数一の位と十の位が零である場合の計算方法を理解させる。 (一学年は略)

(二) 課題は握の段階では、同単元異教材を同時に扱い、課題解決の見通しと計画の段階では、グループ学習でシート磁気録音機を活用しての間接学習とした。そのために、学習の手引きを作成し、児童たちだけで学習できるよう配慮した。

(三) 課題解決の段階では、計算の原理を理解させるためにシート式磁気録音機を活用させ、一学年の直接指導に当たるようにした。

 

(四) シート

(五) シート原稿(自作)

 

(五) シート原稿(自作)

練の徹底、リーダーの養成、学習意識の持続などに重きをおいて指導してきた。

 

(六) 結果は発展的な計算問題も掌握でき、正答率八十七・五パーセントの好結果を得ることができた。しかし、有効な間接指導をねらってのシート式磁気録音機活用については、学習方法訓練の徹底、リーダーの養成、学習意識の持続などに重きをおいて指導してきた。

二、効果的な活用の仕方

複式学級における間接指導は、反復練習的なものだけに終わりやすい。このような問題点を克服するためには、どのような指導方法があるのか、また解決の手だてとしてシート式磁気録音機がどのように役立つものであるかを実践例によって考察してみたい。

(一) 課題は握の段階で、特に間接指導で重要なことは、本時の課題が真に児童のものとなり、学習意識が持続されなければねらいに到達することは期待できないし、学習意欲が低下し主体的な学習の成立も図れない。

空位の二段繰り下がりの学習は、などの思考段階を事前に経ていなければならない。本時のように計算の原理にかかわる指導は、原則的には直接指導で行うが、更に理解を深め定着を図るために間接指導においても適宜取り上げている。(別掲シート参照)また、間接指導においてこのような内容を指導する場合は、プログラム形式によるシートを取り入れ思考過程を整理していくことにより、間接指導の直接化が図られるのではなかろうか。

 

くのに使うことができる考え方はないか。前の問題を解いたときは、どんな順序

 

(二) 課題解決の見通しの段階では、既有の学習経験を生かして数学的な見方をしていくことが重要である。この段階で間接指導をする場合でもシート式磁気録音機を有効に活用してその方向を示唆することができる。既習事項で、この問題を解くのに使うことができる考え方はないか。前の問題を解いたときは、どんな順序

 

 

 


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