教育福島0004号(1975年(S50)08月)-010page
シート式磁気録音機の特性
一、磁気録音機
磁気録音方式としては、1)テープ式と、2)シート式の二種があり、1)のテープ式は使用の歴史が古く、多機種にわたっているが、2)のシート式は十五年ほど前に個人学習機器として東京工業大学星野教授によって開発された世界に類のない機器である。1)、2)ともに磁気信号を音声電流に再生する方法で、主な相違点は下表のとおりでありそれぞれの長所・短所を生かし使用目的によって的確に使うことが重要である。
シート式・テープ式磁気録音機の相違点
二、シート式磁気録音機の操作と特性
録音シートは、伸び縮みを防ぐため特に工夫された特殊紙を用い、表面には印刷ができ、裏面には磁気材料が塗布されていて録音ができるようになっている。この録音シートを用いて教材化されたのがシート教材である。
機器の操作は、およそ次のようにして進められる。
再生の場合は、
1) 録音シートおさえのアクリル板を上げる。
2) 録音シートのガイド穴を機器のガイドピンに合わせセットする。
3) 録音シートおさえ板を下ろす。
4) 電源スイッチをONにする。
5) プレイボタンを押す。
6) ボリューム(音量調節つまみ)を回し音量を調節する。
停止させるには、ストップボタンを押せばその位置で停止する。終了時は、アクリル板を上げて録音シートをはずしヘッドのわきにあるレバーを押して移動させ、アクリル板をもどして電源を切る。
録音は、マイクをマイクジャックに接続し録音ボタンを押してから再生の場合と同じ操作をする。音量は自動録音になっているので調節の必要もなく簡単にできる。
主な特性は、
1) 児童・生徒が機器と一対一に対応して活動することができる。 (学習の個別化)
2) 視覚・聴覚とを同時に用いる学習を可能にする。 (視聴の同時性)
3) 提示された刺激に対する反応への即時フィードバックが可能である。
4) 記録性があり、聞き直しが可能である。 (反復性)
5) マイペースの学習が可能である。
6) 多様な解答表示方法が可能である。多し選択法にしばられず再生法を用いることができる。 (他機器との相違点)
7) 「一枚の録音シートに一つの学習事項」という形になるので、児童・生徒の側から見ると、学習の展開が明瞭で一枚ごとに成功感を味わうことができる。
8) 録音シートは分類・整理することが容易なので、児童・生徒は必要に応じて必要個所を取り出して学習に活用することができる。
シート式磁気録音機の各部の名称