教育福島0004号(1975年(S50)08月)-023page

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ビデオテープレコーダーの特性

画像を記録し、即時再生し得るVTRの導入は、授業の質及び量を大きく変化させている。従来利用されてきたスライドや映画等は、それなりの特質を持っているが、いずれも自作には多くの手数を要し、その上、投影する際には、室内を暗くするなど、授業で効果的に活用しようとする上で、大きな障害となっていた。

VTRの導入は、この難点を解決してくれたばかりでなく、学校放送、教育映画の録画や一TVカメラの活用によるビデオ教材の自作など、指導効果を高める上でも大きな役割を担っている。

一、VTRの特性と機能

(一) VTRにより映像を即時再現できる。

このことは、TV教材の持つマイナス面、すなわち、一回性、非記録性、一方向性を解消し、教材提示を必要に応じ提供するとともに、反復して提示できる。また、教材を提示し、問いかけをし、解決を求め、反応に対して指導を行うことにより、TV教材の持つ一方向性をも解消することができる。

(二) VTRにより、映像の静止、スローモーションが可能である。

映像の静止、スローモーションができることは、VTRの大きな特徴である。この機能の利用により、必要に応じて、映像を静止させ、細かに観察させるなど、スライド的取り扱いもできるし、またスローモーションにより、運動している状態をじゅうぶんにとらえさせることもできる。このことは、VTRの持つ、何回も繰り返しができる特質とあいまって情報を的確に提示し、学習の効果をあげることが期待できる。

(三) VTRとITVカメラの組み合わせにより、VTRを情報提示機器としての機能のみでなく、フィードバック機器としての機能も持たせることができる。

ITVカメラとの組み合わせにより自分では、なかなかとらえられない自分の行動を、即時的に再現してくれる体育において、鉄棒運動をカメラでとらえ、VTRで再現することにより、自分自身で確かめ、欠点を見つけることもできるし、また指導者による即時フィードバックも可能で、VTRの機能を、単に情報提示からフィードバックまで広げることができる。

(四) VTRとITVカメラの組み合わせにより、自作教材の作製が容易にできる。

VTRによる情報提示が効果的であるためには、既成の映像(学校放送TVを含めて)だけでは期待できない。そのためには、自作のビデオ教材を製作する必要も起こってくる。

8ミリやスライドと異なり、現像等のわずらわしさがなく、作った教材をすぐ再生し、自由に不必要なところを消すこともできるなどの手軽さは、今後指導に見合った教材を作り出す上で大いに役立つものである。

二、VTRの活用例

(一) 学校放送教材の活用

NHK学校放送は、それなりに優れた教材であり、理科、社会の授業に利用されているが、授業の中で位置づける場合は、それなりの意図で再編成する必要がある。現実の授業における指導のテンポは、TV番組の流れほどスムーズには進行しないのが常で、録画内容を停止、もしくは静止、あるいはスローモーションにして学習を進めるという利用が有効である。また、放送内容の構成順序と学習プログラムとは必ずしも一致しないこともあり、番組の中の一部を選択して利用したり、授業のプログラムにそって取捨選択し、順序を組み変えたりの再編集したVTRを活用するなど、児童・生徒の実態や指導内容を主軸にした利用法が考えられてよいであろう。

(二) 記録としての活用

児童・生徒の活動や作品を録画しておき、授業の終わった直後、あるいは一定期間たった後で再生して話し合いの素材としたり、進歩の様子を明らかにすることができる。また、学校行事等の録画は、事前・事後指導に役立てることができる。

 

 

 

 

 


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