教育福島0004号(1975年(S50)08月)-025page
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視聴させることにより、情報を収集し、処理し、推論し、仮説を立て、検証を行って法則を発見したり、自然現象を解釈したりする方法を習得させたい。
そこでNHKテレビ「理科教室」の活用を考え、VTRによる録画を利用し、学習の深化とよりよい確実な定着を試みた。
4) 学習の展開(図2)
三、VTR利用の効果と問題点
(一) VTRの利用では、テレビ映像がもたらす印象が強く、児童に与える影響も強いので、安易に視聴を続けさせることは、学習ポイントを失う心配がある。指導内容の定着にはVTRでのねらいを明確にし、綿密な指導計画の中に位置づけること。
更に、テレビ視聴前には、視聴のポイントを示しておくなり、重要だと思うことをメモさせる。また、事後に要点をまとめたり、話し合うなどして、学習を深め確認することが必要である。
(二) 放送番組「種子の生命」の視聴を通して生命現象の偉大さに興味と関、心を高め、科学性を知らせ、それによって実際の観察との結びつきを深めた。更に資料を与え学習の深化と定着を図ることができた。
(教諭 佐藤大日司)
□考察□
TV放送番組は、児童・生徒の目撃しにくく、平常の授業では取り扱うことのできない内容や、やや複雑な実験装置や高度な内容を、優れた教師による巧みな説明で容易に理解できるようにしてくれる。また、危険を伴う実験でも熟練された教師によって危険なく実施され、TV映像を通して詳細に観察できるなど、授業において、技術上経済上、時には教師の能力の上から実現不可能と考えられる科学上の経験を間接的ではあるが多角的に提供してくれ、豊富な知識を与えてくれる。
しかし、放送番組は、短時間に多量の情報を伝達する。このことは、児童・生徒が自分のペースでじっくりと思考する余裕を与えない。すなわち、深い思考をしないまま知識が伝達される結果となる。また、自校の指導計画・内容と合致しない場合もある。このように、放送番組の視聴にはプラスとマイナスの両面がある。
この実践例においては、このことを踏まえ、VTRを用いて授業過程と結びつけて、放送番組教材を効果的に位置づけ利用している点、授業に導入する上で示唆を与えてくれる。
なお、VTRを使い録画して使用する場合著作権の問題があるので注意が必要である。個人が録画して教材として一時的に使う場合は、一応差し支えないが、他人に貸すことはできない。
実践例
保健体育における活用
福島市立松陵中学校
一、VTR導入の経過
四十八年度に一式を購入し、授業研究の記録や部活動などで利用していたがしだいに授業で活用するようになった、
二、体育の授業におけるVTRの機能
(一) 示範としての機能
前もって録画しておき、主として導入時に用いて技能の要領や練習のやり方を分からせる。
一方的な説明や指示ではなく「どうすればよいか」という課題意識を持たせながら提示する。
(二) 技能分析の機能
生徒の技能の長短、問題点を、スローモーション、ストップというVTRの特質を生かしてはっきりさせる。
どこがよくてどこが悪いか、どうすれば問題点が解決できるのかを考えさせる。
(三) 自己診断としての機能
自分の技能・フォームはどうなつているのか。どこに欠点があるのかを分からせる。
自分の目で自分自身を確かめながら学習することは意欲づけの面からも効効ではあるが、時間的に困難さがある。
(四) 変容は握としての機能
プレテストとポストテストの結果を比較し、向上度を確かめる。
これも時間的な面から全員というわけにはいかないので、抽出生徒かグループになることが多い。
三、VTR導入のため考慮した点
授業で教師は、生徒の直接指導に当たらなくてはならない。それでVTRの操作は、できるだけ生徒たちを訓練して生徒にやらせ、特に必要な場合だけ教師が操作するようにしている。
(一) 機器の準備
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〇準備時間にセットしておく。
(二) 録画、映写
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(三) 録画メモの準備
録画するときに、その内容と目盛りをメモしておくことが必要である。いうまでもなく、映写してみる場合に早送りや巻きもどしをすばやく行うためである。資料1のような用紙を作っておくと便利である。
(四) 管理について
カメラ以外は体育館の準備室に置き使いやすいようにしている。車つきのテレビ台が欲しいと思っている。
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