教育福島0006号(1975年(S50)10月)-009page

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れたものでなければならない。明確にされることによって、教職員間に共通理解が生まれ、学校教育に密着した学校給食がむりなく行われるとともに、給食の改善充実及び向上が促進されるものと考えられる。

したがって、特に中学校においては一日の時間配分を検討し、適正な給食時間の確保について努力するよう検討を望みたい。

(二) 食事内容の充実

表9は、四十八年二月に児童・生徒、校長、給食主任、栄養職員等を調査対象として、学校種別ごとに給食の意識調査を実施した資料の中から、児童・生徒がパン・おかずに対して設問に回答したものである。

「おかず」は量、味とも満足できるという内容の回答であるが、「コッペパン」は二十五〜三十九パーセントの者がおいしくないと、また量については約二十五パーセントの者が多すぎると答えている。この対策として本年度は種々検討した結果、パンの量目を十グラム減量したほか、パンに混入する砂糖等を増量し、内容の充実を図るとともに、週一回の食パンの加工賃はコッペパンと同一価格とし、食パンの使用を容易にするかどの改善を行った。

食事には個人のし好が存在するほか、学校給食は集団の場で行われろため、その環境にも支配されるなど改善策には難しいものがある。

しかし、食事は学校給食の生命であるので、時代に即応し児童・生律にとって魅力ある食事内容でなけ必ばならない。このため、給食関係職員の資質及び献立・調理技術の向L・等を図る講習研修会を開催する必至があるとともに、これら関係者自らの創意工夫が切に望まれるものである

(三) 給食物資の合理的確保と父兄負担の軽減策

よりよい品物を、より安い価格で確保するのが、消費者の常道であって、学校給食もこの例外ではない。特に、食材料等に係る給食費は、父兄負担が原則であるため、年度内は同一額の給食費であることが要求されており、年度中途で物価高騰があっても、容易に給食費の改定ができないのが現状である。しかし、食事内容は、児童・生徒にとって魅力あるものであり、栄養量も十分確保しなければならないのが学校給食の責務である。このため県では、昨年度県学校給食会に給食物資の安定供給を図るための調整基金(二千万円)を設定するとともに、同給食会が建設する給食物資保管冷蔵倉庫に対して補助金の交付を行う施策を講じたほか、本年度は給食会に対する貸付金を増額し、低廉かつ良質な給食物資の供給を推進するため、給食今を窓口として共同講入を実施することにした。この結果、八グラムのマーガリン一個四円四十銭が三円四十銭に、ちょうど一円安く供給できろことに成功した。

しかし、この共同購入の参加者け当初予定した員数よりも下回ったことは残念である。参加しなかった堂校等にはそれ相当の事由があったと思料されるが、父兄負担軽減が強く要請されている。現在、給食実施責作者は、大局物立場から物事を判断し積極的にこの共同購入に参加することを勧告する。表10は、給食物資を合理的に確保することによって、父兄が負担する給食費の軽減額を概算した表である。

 

四、むすび

 

学校給食法が施行されて満二十年、学校給食は学校教育活動の一環として定着しているかのように見えるが、その内情は、。父兄負担の軽減→給食費の公費負担。共同調理場の普及→大量、短時間調理。半加工食品のはんらん→手作り調理の減退。共かせぎの増加 弁当作りの代行。給食不用論まで飛び出すなど問題は多く存在している。

これら問題を解決する方策は何か。

第一は、児童・生徒にとって魅力ある食事内容であること、第二に給食時間を授業時間として制度上明確に位置付けること、第三には学校等における給食指導及び運営の組織体制を確立するとともに、栄養職員、調理従事員の適正人員の確保を図ることなどを講じることである。

しかし、表面上に現れた問題点を解決することのみに終始せず、学校給食の意義、目標、そして社会に貢献する度合い等を、給食関係者はもちろん、父只も一般の人々も十分に理解し、納得しなければ、学校教育に密着した学校給食は展開されないと考えられる。

今こそ、明日を担う我が子のため、学校給食の改善充実策について、真剣に検討するのが大人の責務であると思料するものである。

 

表9 給食の「おかず」がおいしいと思いますか? 48年2月調査

表9 給食の「おかず」がおいしいと思いますか? 48年2月調査

 

表10 給食物資合理的確保による父兄負担軽減額概算

1,父兄が負担している年間給食費総額6,288百万円

2,1食から1円安くなった場合の父兄負担軽減年額46百万円

2,1食から1円安くなった場合の父兄負担軽減年額46百万円

1円× 245,000(人)× 190(日)=46,550,000円

3,1食から5円安くなった場合の父兄負担軽減年額 232百万円

5円× 245,000し(人)× 190(日)=23,2750,000

 

 

 


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