教育福島0006号(1975年(S50)10月)-013page

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七、今後の問題点

 

学校給食の意義は、正しい食事のあり方を体得させるとともに、楽しい食事の場を通して、好ましい人間関係を育てることにあることと、食事の楽しさの要因は食事そのものがおいしいものであることはもちろん、環境が清潔で明るいこと、人間関係がうまくいっていることだと思います。特に発育期には、成人より多くの栄養素を必要とするので、食物自体から所要の栄養素を正しく摂取するということ、質の良い栄養食品を使用して、添加物や農薬汚染等で危険性のあるものは避けるべきではないかと考えられます。また、父兄の給食に対する理解を深めさせるとともに、「魅力あるおいしい給食」へ近づけるために皆様の御指導を受けよりよい給食への目標達成に努力していきたいと思います。

食品の持っている栄養的価値を生かせるかどうかは、「調理」の仕方一つにかかっているので、働く調理員一人一人が愛情を持ってその食品に接し、調理化学や調理技術を身につけていれば、それは十分生かせるのではないでしょうか。しかし、栄養的価値があるからといって、必ずしも「おいしさ」につながるものではないでしよう。材料は新鮮なものを選び、調理する際、その食品の持つ自然の味をできるだけ生かせるよう配慮していますが、やはり「うまいも、まずいも塩かげん」と言われるように、慎重に味付けすることが大切であると思われます。また栄養職員の示した献立を、子供たちのために日々責任を持って自分たち自らが工夫して働くこと、献立表をいっしょに検討して、いかにしたら見た目にもきれいに、食べておいしいものができるか真心をこめて作るのが調理だと思います。

児童・生徒に安全で衛生的な給食は健康にプラスする食品を選ぶことに始まり、食中毒が発生しないよう給食施設・設備はもちろん、調理についても検討することが必要だと思いますし、給食従事者が衛生知識を身につけ、食品の仕入れから調理そして喫食まで、すべての過程において衛生的配慮が行わなければならないと考えます。

 

給食研究大会を終了して

 

「魅力ある学校給食を目指して」をスローガンに掲げ、第十七回福島県学校給食研究大会を、去る九月十八・十九日の二日間、原町市体育館と同文化センターを会場として、県教委、原町市教委及び県学校給食会、県学校給食研究会の四者共催により開催した。

第一日は、秋雨が静かに降る午前十一時から、体育館において開会式と県学校給食会長及び県学校給食研究会長の連名による、昭和五十年度学校給食優良団体二と個人四人に対する表彰式が行われ、午後は、「学校給食の心」と題する会津若松市立行仁小学校長穴沢武正先生の特別講演会と、シンポジウムが行われた。シンポジウムは、市町村教委、学校、給食センター及びPTAの立場から「魅力ある学校給食」にするための方策等について、意見の発表、質疑等が行われ、午後四時、第一日目の幕が降された。

第二日目は、小学校指導部会、中学校指導部会及び単独校運営部会、共同調理部会並びに栄養衛生管理部会の五つの分科会場が文化センターに設けられ、午前九時を合図にそれぞれの分科会ごとに研究協議が行われた。午後は再び体育館に会場を移し、分科会の報告と閉会式が行われ、二日間の全日程の終了が宣言された。昭和五十一年度研究大会は、会津若松市を会場として開催されることに決定された。

今大会の特筆事項三つを紹介する。

一つは参加人員である。

昨年は福島市、一昨年はいわき市平でこの大会を行った。これと比較して今回は交通事情、管内の学校数等、いろいろの面で異なる点が多く、参加者が大幅に減るのではないかと危ぐしていたところ、四百名を超える参加者があった。このことは、市町村教委、学校等の理解と協力によるものと考えられる反面、魅力ある学校給食の形成に腐心している表れとも考えられる。大会以外の場所においても、学校給食改善充実のための解決策を研究協議してゆく必要性を強く感じた。

その二は、特別講演会の講師である。今まで特別講演会の講師は、中央から有名人を呼ぶのが通例であったが、今・回はこの趣向を変え、県内で学校給食の改善充実のため苦労し、実績をあげた人のお話を聞き、その中から明日への学校給食の姿を見いだそうと考え、企画した。穴沢先生の話はこの企画にみごとにマッチしたもので参加者の心を打つ話が多く、学校給食に取り組む心構えが植え付けられたような感じがした。

その三は、ある学校のPTA副会長さんが、「このような大会のあることが初めてわかった」と話していることを知り、周知の徹底を図る必要を感じた。

 

給食研究大会を終了して

給食研究大会を終了して

 

 

 


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