教育福島0007号(1975年(S50)11月)-007page

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(選択重要無形民俗文化財)

 

小浜長折の三匹獅子舞

 

所在地

安達郡岩代町大字下長折字移川二十一番地

保持団体

小浜長折三匹獅子舞保存会

代表者

藤野利光

 

小浜長折の三匹獅子舞は、上長折の瀧洞、下長折の中洞乃び東方の三地区に伝えられている。従来、諏訪神社の秋祭りに境内で奉納されていたが、近年は春祭り(四月二十七日)に行われている。今も厳格な当屋制度のもとに行われており、上長折と下長折とが年番で奉納する。

瀧洞を「山がかり」、中洞を「庭虫がかり」、東方を「花吸いがかり」とも言い、それぞれ伝承に小異がある。神社への道中に笛、太鼓で道切りを奏して行き、境内で奉納した後、新しい宿に舞い込みをする。舞にも組によって小異はあるが、東方組では、道切り、舞い込み、チョーリンチャリン、宿入り鳥足、花吸いがかり、そぞろぎ、ささら舞い、岡崎(「雌獅子かかえ」とも言う)、庭ならしの十種目を伝えている。

この獅子舞の特色は、ささらと呼ばれる長さ約三メートルの太い竹竿の周囲に、多くの穴をうがち、この穴に花と称する一種の花串を斜めに差し込んだものが二本、舞庭の左右に立つことである。竿の下方には、波形あるいは巻形の線の刻みがあり、これをささら摺りがさいはいで摺る。獅子は羯鼓を胸にした三匹で、ささらの間やまわりを巡って舞う。鷹子は笛、太鼓で、獅子舞歌が歌われる。各組それぞれに宿引継ぎの記録、花帳などが多数保存されているほか、天明三年の墨書のある太鼓の胴も残っている。

獅子舞は、県内に数が多いが、長折のものには当屋制度に結びつき、舞そのものも三匹獅子の代表的なものとして価値が高い。

 

移動芸術祭

 

集中公演を終えて

 

九月から十一月にかけて、県内六市で開催された八種目十一公演の移動芸術祭は大きな成果を上げ終了できた。

本年度の集中県は、五つの道県(北海道、福島、三重、兵庫、福岡)であり、その他の県では、この集中県の行事の間に巡回公演として開催された。

数年前から、本邦一流の舞台芸術を招へいして県民の鑑賞に供したいという希望はあったが、ようやく本年度実現したものであった。

しかし、本年度は、たまたま県も市も財政事情が悪化し、民間の景気も低調となったことから、本事業の誘致をあやぶむ声もあった。しかし、こうしたときほど、県民の心を高める芸術文化の振興が、重要であるとの判断から本年度の県教育委員会の重点事業として採択され、実施されることになったのである。

四十九年度後半から公演計画が発表され、関係各市と協力して具体化が進められた。

各市と、創立五周年を見た財団法人福島県文化センターが、記念事業として県の委託を受けて、実施主体となり三者共催で、広く県民に本邦一流の舞台芸術の鑑賞を勧め、芸術愛好の心を高め、関心を深めて、県民文化の向上を図ることとしたのである。

県内六市で、こうした大きな催しをいっせいに行うことは初めての試みであり、四十九年後半から、数度にわたって、関係者会議を催し、準備から公演までの細部に至るまで、慎重に実施案の検討を進めた。基準入場料収入額入場料の設定、席数、入場券の販売、広報宣伝や動員方法、他事業との関係

 

小浜長折の三匹獅子舞

小浜長折の三匹獅子舞

 

 

 


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