教育福島0007号(1975年(S50)11月)-009page

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ポット、新聞等の広報媒体を通じて広く県民に周知された結果としてこのような現象となったことと思われる。聴衆は、約千八百名(定員千九百二十八名)と盛況であったが、その陰には、郡山市教育委員会が郡山市文化団体連絡協議会等の文化団体と提携協力して精力的に観客動員を図ったからであり、移動芸術祭公演の皮切りとして、さいさきのよいスタートを切ったのであった。ただ音楽都市郡山にふさわしくない聴衆のマナーに気づいたので、今後のため記したい。演奏が開始されたのにもかかわらず、時間に遅れてきた人たちが場内に入ってしまい、その上自分の指定席捜しをする姿が散見されたことである(当日は、ドアキーパーも配置されていたのだが)。早く、落ち着いて聴きたいためにそのような行動をとったのだろうが、他の聴衆に対してどれだけ迷惑をかけたか残念に思われた。快い演奏会にするため、遅刻者は、ちょっとの間、席捜しをがまんする心がけを持つような鑑賞マナーを、今後に期待したいものである。

 

二、北海道・東北ブロック民俗芸能大会

 

○期日 九月七日(日)一二・四〇〜

○会場 県文化センター

○出演民俗能名称

広瀬熊野神社の御田植(福島県)33名

八沢木獅子舞(秋田県)11名

金ケ沢鶏舞(青森県)26名

礪波獅子舞(北海道)41名

川前の鹿踊り(宮城県)35名

台 笠 踊り(岩手県)22名

梓山獅子踊り(山形県)25名

比曽の田植踊り(福島県)18名

○趣旨

昭和五十年度移動芸術祭地元公演として、北海道・東北ブロック内に伝承される民俗芸能のうち、価値の高いものを広く一般に公開し、その鑑賞を通して、民俗芸能の理解と認識を深め、無形文化財としての保存伝承を図るとともに、あわせて上演芸能の記録を作成した。

〇一般入場者数約千二百名

○感想

最近の民俗芸能保存の機運とふるさとを見直す風潮を反映し、お年寄りだけでなく若い男女も大勢つめかけ、最後までじっくり観賞し盛会であった。

 

三、オペラ公演

 

○期日 九月十五日(日)一八・○○−

○会場 県文化センター

○公演団体・主演者

・指揮 森正

・交響楽団 群馬県交響楽団

・出演者

蝶々夫人 小池容子

スズキ 浅野久子

ピンカートン 田口興輔

シャープレス 田島好一ほか

合唱 二期会

○演目

「蝶々夫人」プッチーニ作曲

○入場者数 約千四百名

○感想

県文化センターが、開館されて五年を迎えたが、福島で本格的オペラが公演されたのは、今回で四度目である。青少年芸術劇場(十四歳〜十九歳の青少年を無料招待する事業)として実施した「カルメン」以外満席となったケースがなく、今回の公演についても、関係者からは観客動員についてあやぶむ空気があった。

過去の実績から推察すると、オペラファンはせいぜい八百人ぐらいが限度であることや、出演者が、ダブルキャストを組んでおり、主役の蝶々夫人が知名度の高い伊藤京子でないことなど、悲観的材料があったことが憂慮されたのである。

しかし、

(1) 「蝶々夫人」は、「ラ・ボエーム」「トスカ」とともにプッチーニの三大名作として、広く世界で上演されている。その上、日本を舞台として、「お江戸日本橋」「宮さん、宮さん、お馬の前で」「君が代」などのなじみ深い旋律がたくさんあり、蝶々夫人の歌う「ある晴れた日に」のアリアは特に有名で、オペラファンにも親しみやすい作品であったこと。

(2) 移動芸術祭公演は、国、県及び市

 

広瀬熊野神社の御田植

広瀬熊野神社の御田植

 

オペラ「蝶々夫人」

オペラ「蝶々夫人」

 

 

 


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