教育福島0007号(1975年(S50)11月)-010page
の主催者が公演費用を負担するため低料金で一流の舞台芸術が鑑賞できるようになっていること。
(3) 今までの公演では、かってなかったテレビを利用してのPRに力を入れたため、県民に広く浸透が図られたこともあって、オペラ公演としては、約千四百名とまずまずの観客動員となり、関係者をほっとさせた。
四、バレエ公演
○期日
十月三日(金) 郡山会場
十月四日(土) 若松会場
○会場
郡山市民会館
会津若松市民会館
○入場者数
約千八百人 (郡山会場)
約千百人 (若松会場)
○演目
「白鳥の湖」チャイコフスキー
○演出振り付け 北原秀晃
○公演団体 チャイコフスキー
記念東京バレー団
○演奏
東京フィルハーモニー交響楽団
○指揮 遠山信二
〇主な出演者
(配役) (郡山会場) (若松会場)
オデット アベ・チェ 井上かほる
オディール アベ・チェ 桜井勢以子
王 子 永田 幹文 夏山 周久
道 化 北原 秀晃 北原 秀晃
悪魔ロッドバルト 福山誠 福山 誠
王 妃 加茂律子 加茂律子
家庭教師 高橋 勇 高橋 勇
ほか ほか
○感想
チャイコフスキーは一生の間に三つの有名なバレエ作品を残した。それは、「白鳥の湖」「眠れる森の美女」「くるみ割り人形」であるが、その中でも特に音楽がわかりやすくしかも美しく、叙情的、幻想的な物語と舞台構成を持つ「白鳥の湖」が世界中で一番愛されている。演出・振り付けの形も世界中でさまざまあるが、今回の上演は、モスクワのボリショイ劇場バレエ団のA・ゴールスキーの原形を踏襲したものによって公演された。キャストは、郡山会場が、プリマ・バレリーナに、海外公演でも絶賛を得ているアベ・チェが、会津若松会場は、ダブルキャストの関係で、井上かほるとなった。いずれにせよ優れた音楽性と演劇性を持つばかりでなく、ポーズの美しさでも定評のある主役であるため、両会場とも期待どおりのすばらしい熱演となり、観客を陶酔させるのに十分であった。作品がポピュラーなこと、演出・振り付けがよかったこと、更にキャストが豪華であったことで前評判も非常に良く、両会場とも満席となった。特に会津若松会場では、公演一か月前にはチケットが売り切れるという状況であった。普通の催しものであれば、当日券は会場に行ってから手に入れることができるので、今回もそれを期待して来た市民が一枚もチケットがないため混乱する一幕もあり、関係者は入場を断わるのに、苦労した。このことは、会津若松市では、このような本格的なバレエ公演は過去に一度もなく今回が初めてであり、市民の待ち望んでいた催しであったからであろう。
一方郡山会場にも、バレーフアンの層が厚く満員の盛況で、多大の感銘を与えた。
白鳥の湖 第1幕
郡山市民会館入場風景
白鳥の湖 第4幕