教育福島0007号(1975年(S50)11月)-016page
四、古風な姿を保つじゃんがら念仏踊り
舘のじゃんがら念仏踊り
舘じゃんがら保存会
いわき市小川町西小川に所在し,盆の間(八月十三日〜八月十五日)に主として新盆の家の庭先で踊られる。
じゃんがら念仏踊りは、いわき市内の各部落ごとと言ってもよいほどに伝えられている。「じゃんがら」とは激しく打ち鳴らす鉦の音から出た名称であるが、一般にこの踊りはいわき市四倉に生まれた名僧祐夫上人が創作したものと伝えられている。しかし、芸能史的に見ると民間に伝承された月念仏などの座り念仏から立ち念仏を経て発展したもののようである。
えんえんと踊り続くなど、念仏踊りの姿をよく示していて、最後の太鼓の曲打ちも見どころである。
じゃんがら念仏踊りも平周辺のものは、近年になって一様に華やかで見栄えのする方向に変化しているようであるが、その中にあって、舘のじゃんがら念仏踊りは比較的古風な振りを保ち古い曲を保持している点、貴重な存在であると言える。
舘のじゃんがら念仏踊り
五、県内最古の記録を持つ貴重な獅子舞
西郷の獅子慶
西郷青年団
双葉郡川内村上川内に伝えられる伝統ある三匹獅子舞で、毎年五月五日と九月七日、鎮守である諏訪神社の春秋の祭礼に、浦安の舞や神楽に続いて境内で行われる。川内村には同村西山の百野に来住した吉田久次が教え伝えた四組の三匹獅子舞が存在し、これはその一つである。
太郎、次郎、雌の各獅子には十歳から十二歳ぐらいまでの男子が当たり、鷹子は太鼓一、笛二に歌い手一人が加わる。舞は「山がかり」と言われ、種目には道中の「道笛」、神社を回る「宮参り」、そして本舞の「舞出し」、「草食い」、そして雌獅子を奪い合う「けんか獅子」がある。
獅子頭には延宝三年(一六七五)の銘があり、これは知られている限りでは、県内で五番目に古いものであるがその他に元禄四年(一六九一)の許状も残っていて、これは獅子舞の由来を確実に示す証拠の記録としては、同じ川内村町獅子の元禄三年の許状と並んで県内最古のものである。
舞そのものも古風で、民俗芸能としての価値も高い。
西郷の獅子舞元録年許状