教育福島0008号(1976年(S51)01月)-014page

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どの型の問題も有効度指数が八九%以上であった。特に上位、中位グループは一〇〇%であり、非常に有効であったと思われる。また答案を調べてみると、指導前に見られたような無答はなくなり、正答率が八○%以下の児童は、四十三名中三名だけであった。そのうち二名は、追指導で伸ばすことができた。

は持テストを事後テスト実施後三か月たって、事後テストと同内容の問題を実施したところ、は持率が九五%以上でたいへんに高かった。その中で、は持率の低い型は、加法計算のa+b(a

グループ別に見ると、下位グループでも九六%のは持率を示し、よく定着していることがわかる。

このように高いは持率を示したのは、図5のように、具体物1→半具体物1→数図(又は数直線)1→数式、という手順で、同じ操作を繰り返しながら指導したためであると思われる。

●第二次研究

事前テストの結果を問題別に見ると、第一次研究のたし算と同じように、絵題は見てすぐわかったので、非常に正答率は高かった。また、文章題も、式は立てられないが、答えはすぐにわかり、正答率が高かった。しかし、たし算の指導の前にテストしたので、数図で表した文章題や減法計算は、まだほとんどの児童が経験が少ないためにわかっていない。

グループ別に見ると、上位グループのごく一部の児童だけが減法計算ができたが、他のグループの児童は全然できなかった。

事後テストを事前テストと同一内容の問題で実施したところ、どの型の問題も有効度指数が八○%以上である。特に上位、中位グループは一〇〇%であり、非常に有効であったと言える。また、答案を調べてみると、第一次研究と同様に、指導前に見られたような無答はなくなり、しかも計算が速くなり、正答率が八○%以下の児童は四十三名中三名だけであった。

は持テストを、事後テスト実施後三か月たって、事後テストと同内容の問題を実施したところ、は持率が九三%以上で非常に高い。その中でもは持率の低い問題は、数図を用いた文章題である。これは、数概念がまだよく身についていない児童が誤っていた。

また、グループ別に見てみると下位グループでも九七%のは持率を示しているので、非常によく定着していることがわかる。

このようにたいへんよいは持率を示したのは、具体物→半具体物1→数図(又は数直線)→数式、という手順を通り、計算のしかたを一人一人に言葉で説明させたためであると思われる。

●第三次研究

事前テストの結果を問題別に見てみると、繰り上がりのある加法計算は、半分以上の児童がわかっている。特に、答えが15以上になる問題は、数える前から正答率が七〇%で非常に高い。しかし文章題になると、今までの形式とは別な思考を伴うため、式の立てられないものが多かった。

グループ別に見ると、上位のグループも、中位のグループも変わりなく、繰り上がりの加法計算のできるものが多かった。これは、家庭で教えてもらったものが多かったためのようであり、定着するような習い方はしていないようだ。したがって、指を使ったり、○を書いたりして計算しているものも見られた。

事後テストを事前テストと同一内容の問題で実施したところ、どの型の問題も有効度指数が七七%以上であった。この問題は、他のものより極端に劣っているが、これを省くと有効度指数は八六%以上になり、第一、二次研究と同じくらいになる。なぜこの問題だけ劣るのか調べてみると、事前テストがあまりにもよく、正答率が七九%であったために伸びないことがわかった。また、加数が大きい数になるのにつれて、10の補数に加

 

図5 減法8−3の指導手順

 

 

 

 


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