教育福島0008号(1976年(S51)01月)-015page

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数を分解するのに時間がかかることがわかった。普通の授業においては、時間をかけると、特別に知能の低い一名の児童以外は、ほとんどの問題が誤りなくできた。

グループ別に見てみると、上位グループは一〇〇%、中位グループは九七%であり、非常に有効であったと言われる。下位グループでさえも八二%の有効度指数であり、まあまあの出来ばえである。

また、答案を調べてみると、文章題の「六このものを二箱買う問題」は、有効度指数が八七%で、誤っている児童は、ほとんどのものが、6+2と解答している。これは、初めての形式の文章題で、注意してよく考えないために誤っているようである。

は持テストを事後テスト実施後二か月たって、事後テストと同内容の問題を実施したところ、は持率が九七%以上でたいへんに高かった。そのうちで一番低いは持率を示したのは、前述の文章題であるが、今度は注意して考えたためか、九七%のは持率になったと思われる。

また、グループ別に見てみると下位グループでも九八%のは持率を示している。

これは、事後テスト実施後二か月という短い期間のため持続しているとも考えられるが、なんといってもよかったのは、教材を精選し、視聴覚教材教具や教育機器を効果的に用いて指導したためであると思われる。

 

写真7 授業に使用した自作教具

写真7 授業に使用した自作教具

 

(三) 結論

事後テストやは持テストなどの変容調査や追跡調査の結果などからわかるとおり、有効度指数やは持率がたいへんに高かった。

これは、たし算やひき算の計算をする場合、指を使うことからなるべく早く離れて、誤りなく速く計算できるようにするための指導として、具体物から半具体物へ、半具体物から数図(又は数直線など)へ、数図(又は数直線など)から数式へという手順を追って指導したことや、計算のしかたを言葉でどの児童にも説明させたことや、教材を精選し、視聴覚教材教具及び教育機器を適材適所に用いて効果的に指導したことなどが、有効であったと推測できる。

したがって、指を使うことからなるべく早く離れて、誤りなく速く計算できるようにするためには、前述の三つの事項を抑えて指導したことは適切であり、本仮説は妥当であったと言ってもよいであろう。

このことは、加法(繰り上がりない、繰り上がりある)、減法(繰り下がりない)の指導だけに限らず、その後の減法(繰り下がりある)の指導の結果からも言える。また、乗法除法の指導に当たっても、その効果があるだろうと期待できる。

 

五、反省と問題点

 

(一) 前提条件である基礎をそろえるために、追指導に四時間費やした。

(二) 計算の方法は理解しているが、問題をよく読まない。不注意による数字の誤りによる計算の違いが見られた。今後の指導を要する点である。

(三) 指は使わなくなったが、時間のかかる児童がいる。もっと速くできるよう訓練していきたい。

(四) 加法(繰り上がりのある場合)については、は持テスト、追跡調査等の結果から、前調査と同じくらいの定着度を認めることができた。

(五) 減法(繰り下がりのある場合)についても、(四)と同じ方法で検証授業を行ったため、ほぼ定着度は等しい結果であった。

(六) 下位グループで有効度指数が八二%以上であった原因は、

○ 具体物から抽象化するまで、一貫性のあるステップを踏まえて指導したこと

○ 視聴覚に訴えた指導をしたこと等である。

(七) この研究は、第一次、二次、三次と三回にわたって検証し、更に第四次として減法(繰り下がり)を継続検証したが、紙面の都合で省略した。

第五次として、乗法についても検証をしてみたい。

 

六、参考文献

 

教育研究法序説

福島県教育研究所

教育研究の実践

福島県教育研究所

 

 

 


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