教育福島0008号(1976年(S51)01月)-018page
表2 数学科指導内容のミニマム
を数多くの生徒が理解できるようにするためには、指導内容を精選し、生徒の実態に即して教材を選択し、指導に当たらねばいけない。そこで、表2はこのような考えに立って作成した指導内容のミニマムである。
この資料は、今学習している教材内容が、次の学年の、どの教材に結びついているのかを考えて学習し、また、どの学年のどの教材で学習した内容であるか、教材内容の系統性を重んじ、領域別に配列して作成した。その上、学習指導要領で、その教材の到達目標を具体的な問題によって示し、到達度の評価を容易にした。更に、生徒各自が、自主的、自発的に学習を進め、興味・関心を持ちながら、積極的に授業に参加するため、単元ごとに学習内容を書き込んだ「学習の手引き」(表3)を持たせ、毎時の授業に臨む前に、生徒が各家庭で、その授業の学習内容に前もって目を向けておくことができるようにした。また、この「学習の手引き」を基にして、一時間ごとの学習内容を印刷して配布し、表4のようなノートの使い方を指示した。つまり、生徒各自が家庭で学習し、この授業の学習のねらいをしっかり抑えながら、本時の学習ではどのような内容を学び取ればよいのか、そのためには、前にどのような内容の教材を学習しているかを簡単な問題で復習し、この授業での学習内容を予習させた。そして、「わかるところ」「わからないところ」をはっきり区別させ、わからないところには時間的な余裕を持たせて授業を受けさせることにした。
これらは、
「合理的な授業過程を構成する」
「生徒に学習方法を学び取らせる」
などの点から必要性がある、と考えたからである。
授業は、目標追求の複雑なコミュニケーションであり、目標追求への合理性を探るものである。と同時に、授業の目標を追求する過程は、既習の概念と新しい情報の持つ数学的構造との関係を明らかにしながら、数学的概念を拡張し、確かなものにしていく営みである。このような営みを成立させるために、新概念の導入は既習事項との関係で考えさせたり、課題解決にあっては、課題の分析や統合による数学的な考え方を重視した。
(三) フィルター方式による授業観察並びに分析
教育の中核はなんといっても授業である。その授業は、常に評価され、診断され、改善されていかねばならない。そこで、授業記録を基に、次の視点で授業の改善を図った。 (表5参照)
○ 生徒の思考活動をあらかじめ予想し、意欲を持たせるような発問、助言をする。
○ 教材内容を系統的に、しかも必要最小限に抑え、密度の高い授業にする。
○ 前もって素材の選定をし、中心教