教育福島0009号(1976年(S51)02月)-013page
音楽
普通教育における音楽教育は、望ましい人間形成のために、音楽の持つ芸術性を活用し、人間生活の中の音楽的生活の特質の上にこれを役だたせよううとするものである。
このように明白な性格を持つものであるから、専門教育としての音楽教育との混同を避け、学校教育に果たすべき役割を明確にして進めなければならない。
このため、直接的には「音楽はどのような仕組みを持ち、どのような働きが期待できるか」を考える必要がある
特に、教科としての音楽を学習させながら、美に対する感動を通して高い価値感情としての情操を高め、児童・生徒の生活に生きがいと生きる力を与えるものであることを認識したい。
小学校
一、音楽科と児童の学校生活との関連、学校・学級経営の中で果たす音楽科の役割を明確にする。
(一) 学校生活の時程等を検討し、登・下校時や休憩時等、音楽に慣れ親しむ場と機会を適宜設定する。
(二) 特別活動の運営を見直し、いろいろな活動の場で音楽の楽しみを生かし、和やかで親しみのあるふんい気を作るように心がける。
二、音楽科の指導内容を理解し重点的な指導が展開されるように努める。
(一) 指導に当たっては、技能面の習熟だけにとどまらず、 「領域に示された内容の指導」に、考え方の重点を置く。
(二) 「基礎」の目標として、他の領域で養われる諸感覚の総体としての音楽的感覚の発達と、聴取、読譜、記譜の能力並びに楽譜に対する理解が掲げられていることに着目する。
(三) 指導内容の重点化を図るとともに統合的な指導を進める。
このため、各領域の内容には有機的な関連を持つものが多いことに着目し、これらを指導目標に照らして最重要と思われる内容に焦点を当てる。他の内容は関連的に扱われるよう工夫する。
この際、それぞれが独自にねらうものを持ちながらも、指導目標に従って統一的に結合され、児童が学習を進める上で統合的に生かされるように努める。
三、指導計画の改善充実に努める。
(一) 現にある年間計画を見直し配当された題材で指導内容と時数が見合っているかどうかを検討する。
(二) 児童の能力や地域の実情、更には、学校における条件等を考慮し、年間指導計画が月や週の指導計画に具体的に結びつくように配慮する。
四、児童が集中的に学習を進めるよう、指導力の向上に努める。
(一) 実技を中心とした研修を進める。
(二) 単位時間の授業のあり方を研究し効率的な学習指導を展開する。
中学校
一、音楽科と生徒の学校生活との関連、学校・学級経営の中で果たす音楽科の役割を明確にする。
(一) 教科音楽で培われた音楽的諸能力が、学校生活のいろいろな場面で発揚されるように工夫する。
(二) 特別活動の運営を見直し、いろいろな活動の場で音楽の楽しみを生かし、和やかで親しみのあるふんい気を作るように心がける。
二、音楽科の指導内容を吟味し重点的な指導が進められるように努める。